1988年12月5日発売
舷燈舷燈
海軍予備学生に志願し従軍した牧野の青春は敗戦とともに打ち砕かれた。心は萎えていたー。身内に暗い苛立ちを棲みつかせ、世間に背を向け頑なに生きる男。短気で身勝手で、壮烈な暴力をふるう夫に戸惑い反撥しながらも、つき従う妻。典型的な夫婦像を描く作品の底に、亡き戦友への鎮魂の情を潜め、根源的な哀しみを鋭く突きつける傑作長篇。
悲しいだけ・欣求浄土悲しいだけ・欣求浄土
緊張した透明度の高い硬質な文体。鋭角的に切り抉られた精神の軌跡。人間の底深い生の根源を鋭く問い続ける藤枝静男の名篇「欣求浄土」「一家団欒」を含む『欣求浄土』、藤枝文学の“極北”と称讃された感動の名作、野間文芸賞受賞の『悲しいだけ』を併録。
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