1988年12月発売
新政府の反対分子を一掃するには金が要る。が、いずれニセ札は発覚する。邪魔者は川路利良大警視ただひとり。明治9年8月、築地の伊藤邸で、長州の三巨頭が密談していた。そのとき、伊藤博文工部卿は不気味な笑いをたたえながらある男を思い浮かべた。旧幕臣不破亮之介,29歳。肥前鍋島に伝わる殺人流の極意“三年殺し”を体得した男…。明治12年、衆目を集めた藤田組ニセ札事件を背景に、剣鬼と化した男の非情の最期を描く、迫力時代小説。
戸沢敬二は白昼夢を見た。女高生とテレクラの電話で話したことが、彼の脳裏で再現されたのだ。「制服を脱がせて素っ裸にしてやる。それからフロ場で密着した腰をクネクネさせるアワ踊りだ。それから、それから…」戸沢敬二は宙を睨んでいた。(「テレクラの落し穴」より)欲望の捌け口を激しく求める男の眼には、もはや餌食となる女の肢体しか見えない。それが悲劇の始まりである。ベストセラー『生贄』『暴行』シリーズに続き、新たな視点で男の犯罪を赤裸々に描いた超弩級の新シリーズ、誕生。
正宗・吉光・義弘の三振りの宝刀に刻まれた謎の文字。御三家の命運を左右する黄金の埋蔵場所は…。尾張・紀州・水戸、そして幕府探索奉行の決死の戦いが繰り広げられていく…。息つく間もなく展開する気鋭の力作長篇!
かつて父とともに坑夫として働いていた炭坑を、22年ぶりに訪れた沖田隆明。そこで出会った末原和枝から、意外な事実を知らされる。沖田の父の死は、坑内事故ではなく、仕組まれた殺人だったというのだ。怒りに燃えて、沖田は復讐を開始する-凄絶なハード・アクション。
自由勤務を命じられたサラリーマン、一攫千金を狙うチンピラたち、玉の輿を夢見るデートガール…。現代の世相が生んだ孤独な人間たちが、愛憎の果てに行きついたところは…現代を鋭く抉る巨匠の本格長編推理。
本篇の主人公は、テレクラのオーナーである。彼は、自分の店を“人妻狩り”という自身の私的な趣味に生かし、日ごと夜ごと漁色を重ねて飽きぬのだが、世の中はどうやら、好色な男のまわりにこそ、美形の佳い女が集まるようである。だが、女は百人十色。不倫妻の性の趣向も千差万別である。本篇の主人公、津島恭は、現代の人妻たちのその多淫ぶりに、ベッドの中で呆れたり、戸惑ったりの連続なのである。
コロンビアのノーベル賞作家ガルシア=マルケスの異色の短篇集。“大人のための残酷な童話”として書かれたといわれる6つの短篇と中篇「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」を収める。
自分の頭蓋骨をとりだした男の話、患者に模した蝋人形で患部を治療する医者の話、賭ルーレットの数字をピタリと当てる男の話等々ナンセンスの中にアブノーマルなグロテスクさの満ちた短篇群。現代イタリア作家の中で最も評価することの難しい作家といわれる、異才マッシモ・ボンテンペルリの戦後初のまとまった短篇集。まことに奇妙キテレツ・痛快な一冊である。佐々木マキの挿画入りで贈る、文庫版オリジナル。
劇場内のボックス席で、バレエ団のワンマンオーナーが殺された。そして、殺害時の状況から犯行が可能な人物は一人に絞られた。その重要容疑者の父親から、息子の無実を証明するよう依頼されたマグナス・ゴールド。しかも今度はバレエ団がモスクワ公演に発つ前に、というデッドラインが設けられたのだ!新本格派の雄が、再び不可能犯罪に挑戦する。
ホークムーンの世界は変貌してしまった。今の歴史によれば、ロンドラ会戦から5年間、彼は狂気にとらわれていたという。ここには存在しない妻とふたりの子供もまた、狂気ゆえの幻想であった…。そんな彼のもとを、ある日カティンカと名乗る女性が訪れる。イッセルダの姿を求め、彼はカティンカとともに旅に出るが…?快調の三部作、第2巻。
1990年代、とある天文台が観測した謎の光点。それは地球に向けて接近する、一隻の巨大宇宙船だった。かくして人類は、初の地球外生命到来の瞬間を待ち構えるが…奇妙にも、異星船は地球からのメッセージになんの返答もよこさない。彼らは一体なにを目論んでいるのか?アメリカSF界きってのベストセラー・コンビが放つ、最新地球侵略SF大作!
異星人たちは地球各所に進攻し、形勢をかためつつあった。さらに、地球に最大級の打撃を与えんと、軌道上より落下させられる大隕石…。だが、全面降伏を勧告されながらも、人類は総力をあげて迎撃用兵器の建造を急いでいた。その名も〈大天使〉-人類最後の希望であった。はたして人類は、この史上最大の戦いに勝利をおさめることができるか?
愚直な夫と周囲の俗物への嫌悪から、ラ・レヘンタ(地裁所長夫人)は新しい生活を模索するが、信仰と愛の誘惑の間に揺れ、そして意外な結末を迎える。軽妙な語り口と鋭い風刺、批判精神でさまざまな登場人物を生き生きと描き、時代や国境を越えて、人間存在そのものの弱さと愚かさを鮮やかに提示する。
情熱の都市セビリアを舞台に、希代の妖婦コンチャに魅せられ、炎を精練しつくした冷たい情熱にひきこまれてしまった一人の男が繰り広げる、苦悩と陶酔の華麗な絵巻。世紀末耽美頽唐派の代表的作品。
真紅の薔薇がもとで見破られた大女優の正体。往年の大女優の派手なカムバックの裏に恐るべきカラクリが仕組まれていた。気鋭が挑む芸能界内幕ミステリーと熾烈なアクションの世界。
鎌倉市役所に〈殺人鬼〉と名乗る発信人より脅迫状が舞込んだ。内容は〈福祉予算を倍増せよ。さもなければ次々に犠牲が出るだろう〉というものだった。市長がどう対応すべきか迷っているうちに、殺人鬼は行動を開始した。本編の主人公・犬猫先生の隣人・緑川月夜子が飼っているインコが首を斬られて殺され、次いでねこのミューの死骸が市役所玄関前にワープロで〈殺人鬼〉と打たれた紙とともに発見された。-ユニーク探偵大活躍の“犬猫先生シリーズ”最新作。長編推理小説。
ブライダル業界で活躍する薫子と美香は、双子姉妹。すべて対照的な2人だが、それぞれ異性のファンは多い。その中で、2人にとって共通して気になる存在が、チーフの萩尾である。女性の夢を売る仕事にたずさわりながら、女としての自分の生き方を、愛を追い求める男と女たちのライフ・スタイルを描く。