1990年8月1日発売
セーヌの川底からお化け潜水夫に水死体が運び去られた。それを目撃したヴァランタン・ムーフラールも水死体となって、所もあろうにエッフェル塔の上に現われ、おまけに幽霊船『飛び行くオランダ人』号船長の契約書までも添えてあった。血の気の多いパリっ子を巻き込んで次々おこる怪事件、登場する怪人物、深まる謎…。エッフェル塔の構造の秘密という奇抜な着想から繰り出される奇想天外な物語。
子ども相手の紙芝居に登場した黄金バットはたちまち大ヒット。東京の場末の長屋に住んで黄金バットを生み出した人々の群像を中心に,それを取巻く貧しい庶民、失業者、日傭労務者・博徒・テキヤ…、説教強盗とそれを追う刑事、過剰に職権を揮う特高警察などが登場し、全篇を通じて昭和初期の気分と雰囲気をみごとに再現する。
失踪した息子夫婦の捜索を依頼され、わたしは十一月のニュージャージー州を訪れた。土地の名士である父親の話によれば、持ち家を捨て値で処分したのち、二人は一切の連絡を絶っているらしい。残された一枚のメモ用紙には“フリーク”という単語がいくつも書き連ねられていたのだが…。片腕の私立探偵フォーチューンが展開する必死の調査行。正統派ハードボイルドの秀作登場。
戦争が終った4年目の夏-。原因不明の発熱と頭痛に悩まされている丈太郎は、彼の最後となるかも知れない15歳の夏を母の故郷の家の土蔵で送っていた。ある日のこと、土蔵の窓から外を見ていた丈太郎はひとりの少女を見かける。その瞬間、彼は彼女こそ自分が求めていた夢であることを直感する。しかし、突然そこにあり得べからざる光景が現われた。少女は成熟し、そばに男がい、辺りの風景は一変している…。(「幻窓の夏」)。7つの星にも似て輝く好短篇集。
新宿歌舞伎町の高級クラブの美人ホステス星合美奈子が殺された。歌舞伎町の揉め事相談屋・草薙凰介の恋人だった女だ。事件の鍵を握るクラブのママ九紋由妃子を草薙は追いつめたが、寸前でその女もまた何者かによって殺害されてしまう。そして、連続美女殺人事件の背後には恐るべき国際犯罪の秘密が潜んでいた…。巨悪に敢然と立ち向かう新宿の闘殺屋探偵・草薙凰介の復讐心は猛然と燃え上がる。-権力や悪に抗して生きるスーパー探偵の活躍を通して、大都会の夜に蠢く男女の色と欲、現代風俗の核心に鋭く斬り込む都会派ニュー・バイオレンスの傑作。
世間知らずの母親・香織さんのひとこえであたし、海の見える、バラ園つきのボロ屋敷に住むハメに…。そこであった和之さんは、とっても鋭くて、どこか透明な眼をしていた。
夏休みに入る直前、親友の美佳から「雄馬さんが好き」といわれちゃって、ドッキーン!雄馬さんは、あたしのお兄さん。だけど、そうとは知らず…ううん、知ってからも恋してたヒト。コージつうステキなカレがいるのに。またまたゆれ動く、あたしのハート。え〜ん、なのに、今度はママが倒れたっていう知らせが…。あたしの涙、止まらない。
わたしの家は、七尾谷家っていう旧家。両親が早く亡くなって、広い家には執事の内藤さんと、家事をやってくれる久保田さんとの3人だけ。親友は、妙ちゃんひとり。ある日、あこがれの根岸くんに「七尾谷って、おれのタイプじゃないよ」といわれて大ショック。ところが、死んだおとうさまからの手紙を持った美佐子さんが現われて…。
可愛い顔の少女の左足が、目に見えぬ速さで松野というヤクザの股間に飛んだ。彼は、彼が苦心して改造した自分の大事な肉体が、平たい靴の爪先によって無残にも破壊されたことを知った。玉を埋めこんだ大事ないちもつは、潰れて玉ごと骨盤にめりこみ、彼は絶叫を上げて地面をころげ回った。-盲目の美少女白麗華の恐るべきカンフーが炸裂する。
芸能プロの社長が病院から誘拐され、時をおかずして犯人より、身代金1億円を要求する電話が入った。受け渡し場所は新宿駅、それも急行「アルプス82号」の車内という。周囲は私服警官で蟻の這い出るスキもなく固められた。しかし車内に入るや1億円は忽然と消え失せ、残されていたのは男の生首だった…。残酷な手段に隠された犯人の真の狙いとは?
レバノンの米国大使館員たちがテロリストに誘拐された。やがて人質の幽閉先が衛星写真によって明らかになる。そこはリビアの砂漠の只中だった。付近にソ連軍が守護するウラン濃縮工場があるため、国家レベルでのうかつな軍事行動は取れない。これを知った映画スターのレディングが独自の人質救出計画を立案。彼の依頼を受けた退役陸軍少佐クエイリーはプロフェッショナルの男たちを選りすぐり、ロケ隊を装った救出部隊を組織した。