1991年11月30日発売
我らが影の声我らが影の声
兄が死んだのは、ぼくが十三のときだった。線路を渡ろうとして転び、第三軌条に触れて感電死したのだ。いや、それは嘘、ほんとはぼくが…。ぼくは今、ウィーンで作家活動をしている。映画狂のすてきな夫婦とも知り合い、毎日が楽しくてしかたない。兄のことも遠い昔の話になった。それなのにーキャロルの作品中、最も恐ろしい結末。決して誰にも、結末を明かさないで下さい。
魔犬の復讐魔犬の復讐
時は1902年初夏。新王エドワード7世の戴冠式を間近にひかえたロンドンは、奇怪な事件に震えあがった。巨大な魔犬が荒涼たるハムプステッド・ヒースで、浮浪者を襲ったという。あのバスカービルの犬の再来か?これにつづくクロムウェルの遺骨の発掘と盗難、フェリー内の中国人ボーイ殺害と、無関係に思える諸事件の裏に、ひとりシャーロック・ホームズは、邪悪な陰謀を見据えていた。ホームズの時代をあざやかに甦らせた会心作!
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