1991年7月発売
保安会社を経営するスタフォードは、かつての恋人から奇妙な相談を受けた。巨額の遺産を相続した彼女の夫が、不審な行動をとりはじめたというのだ。調査を始めたスタフォードは、遺産を詐取しようとする邪悪な企てに気づき、これを阻止すべく灼熱のケニヤに飛んだ。遺産の背後に、アフリカ全体を揺るがす巨大な陰謀が隠されているとも知らずに…。『サハラの翼』のスタフォードが再び活躍する巨匠の傑作冒険サスペンス。
軍需物資を満載してソ連に向かう輸送船団の護衛作戦ーそれは北極圏の想像を絶する寒さと暴風雨にさらされる、英国海軍最悪の任務だった。しかもキャメロン大尉の乗るフリゲート艦スプリンターには、さらに困難な任務が課せられていた。独ソ戦の勝敗を左右する重要人物2名を、ムルマンスクへ極秘裡に護送せよというのだ。だがバレンツ海では、強力なドイツ艦隊が満身創痍の輸送船団を待ち受けていた。シリーズ第5巻。
お願い、わたしの生物学上の父を探してー。閑散としたオフィスに突然飛び込んできた少女にサムスンは面食らった。大富豪クリスタル家の一人娘が、血液型から自分は実の子ではないことが判明したと涙ながらに訴えるのだ。さっそくクリスタル家の系譜を探り始めたサムスンは、こころならずも名家の巨富をめぐる醜悪な争いに巻き込まれてゆく。暴力を憎む心優しき知性派探偵アルバート・サムスン、文庫初登場。改訳決定版。
離婚調停が泥沼化し、わたしは意気消沈していた。ベルリンで開かれる名画展の仕事に飛びついたのもそのせいだ。が、わたしはたかが一介の美術館学芸員、そこで思わぬ冒険が待っているとは夢にも思っていなかった。名画展の主任が「この中に贋作がある」と言い残し、謎の死を遂げるまでは…。軽妙な語り口と本格派の香りが魅力の、エルキンズの新シリーズ。
ナチ・ドイツの崩壊を目前にした1945年春。英米軍は西から、ソヴィエト軍は東から、ベルリンに迫っていた。そのソヴィエト軍のなかに密かに〈大天使〉作戦なる計画を企む者たちがいた。〈大天使〉作戦-それは、東部戦線の全ソヴィエト軍を結集してドイツ軍を撃破したのち、その兵力で英米軍を攻撃、いっきょに全ヨーロッパを席捲しようという極秘の軍事作戦だった。作戦の計画文書を手に入れた英国は、ソ連の企みを撃破するため〈守護天使〉作戦を発動する。ドイツの最新鋭機を使って、チェコ領内にいる計画の中心人物シャポシニコフ元帥を秘密裡に抹殺するのだ。かくて密命を帯びた英軍パイロット、クルーズが、戦乱のドイツに潜入する。だが、クルーズはゾヴィエト側に恐るべき最終手段があることを知るよしもなかった。「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリィ」の元編集者が史実をおりまぜて壮大なスケールで描く航空冒険巨篇。
ロシア革命-激動の時代歴史の暗部に日本人がいた。広漠たるロシアの雪原を血に染めて絶望への行軍が続く。謀略に運命を踏みにじられた日本の女と男…。莫大な金塊のゆくえは?TOKUMA冒険&推理特別書下し。
画家の真野亮介は、T電機工業に勤める親友の向井潤三の怪死に驚いた。向井は、M鉱山の廃坑内で落盤による圧死体となって発見されたのだ。亮介は、向井から数日前に謎の鍵を託されて不吉な予感していたが、それにしてもいったいなぜ?しかも向井は出張中のはずである。向井の事故死を信じられない亮介は、美人OLの神殿真由美、易者の影山真改という強力な助人を得て真相を追うが、やがて第二の殺人事件に巻き込まれる…。巨悪の壁に挑戦する男たちを、情感あふれる筆致で描く傑作サスペンス・ミステリー。
狂熱の大都会、レミントン・シティのタフガイ、ダン警部と、コンビのポップ刑事は、連続殺人事件を追っていた。七人の犠牲者は少女を含め、いずれも娼婦だった。浣腸後、犯され、腹を切り裂かれたのだ。街ではテロが頻発し、警官は次々と駆り出されていく…。二人だけの捜査を強いられたダンとポップは、恐怖がとり巻く街に、容赦のない戦いを挑んだ。破壊と報復で血塗られた闇夜に、彼らが見た狂気の真相とは何か?そして再び、残虐な殺戮が…。飢えた天使が摩天楼を地獄に変える時、ダンの怒りのマグナムが炸裂する。
若名千鶴、三十二歳。六カ月前に夫を事故で失い、小学校一年の息子を持つ夫亡人である。千鶴の亡き父親が帝都興業の創業者であり、夫が二代目社長であったことから、帝都興業の専務職に就いた。しかし、社内の目は厳しい。さまざまな難問が持ちこまれ、千鶴は窮地に立つことしきり。そこで一念発起。一人息子が社長になるまで頑張ろうと、自分の肉体を武器にして親衛隊を結成。ビジネスと社内工作に邁進する。千鶴の後見人に、会長職の吉本太一がいるが、行先はどうなることやら…。エロチック・ユーモア・ストーリー。
雪どけの北八ケ岳・縞枯山で、目から血を流した男の凍死死体が発見され、長野県警諏訪署の道原伝吉刑事は現場に急行した。が、続いて犯人と思われる女の絞殺死体が発見された。捜査が進むにつれて、男の死には、二年前同じ縞枯山で連続して起きた遭難事故に関わりがあることが明らかになる。そして、真犯人と思われる男には完璧なアリバイが用意されていたのだ。長篇山岳ミステリー。
江戸・元禄の世に彗星のごとく現れ、一代の栄耀を振りまいて歴史のかなたに消えた伝説の男・文左衛門。暴風雨をおして蜜柑を江戸に運び、巨利を手にするや、幕吏に近づき公儀御用達の金看板を手にする。江戸の華・火事を目当てに材木を買い占め、上野寛永寺建立を請け負ったその富の高しれず。しかし吉原に豪遊する文左の心は晴れなかった。野望と冒険に生きた、一代の豪商の生涯を描く傑作時代長篇。