1994年4月10日発売
黒炎の貴公子黒炎の貴公子
四百年の時を越えて甦った伝説の黒魔道術士オーガスタ・ディーがついに動きだした。ザーン皇室の皇帝が急死し、オーガスタ・ディーの魂を宿すカミル皇子が次の皇帝に即位する、というのである。時を同じくして、シェスタの盟友アムスィル率いる小国エリアルが、突如近隣諸国に攻め入り、領土の拡大を始めた。シェスタ自身、商業都市ヴァリの三分の一が失われるほどの、炎魔バルログの激しい襲撃を受ける。その赤い瞳に予言された乱を呼ぶ“蛍星”の運命が今、成就しようとしていた。
黒十字秘文黒十字秘文
江戸は黒門町の大店伊勢屋の一人娘お新と浜松屋の一人娘お菊は同い年の十八、近所でも評判の仲よしだった。その一人、お新が奇妙な相対死をとげた。心中の相手は以前から身をもちくずして勘当されていた兄の喜三郎であった。そのことは幼なじみのお菊が証言した。伊勢屋の主人は番頭利吉をいずれはお新の婿養子として身代をゆずる気でいたが、お新にきらわれていることを知る利吉にとっては邪魔な二人、いっそ殺して。動機は充分だ。浜松屋の長屋に住む浪人柊左近は、不審の利吉を洗っていったが、その見込みはみごとはずれた。が、毎日、伊勢屋の居間に人知れず送られてくる不気味な黒十字のついた殺人予告状。事件には三十五年前のどす黒い怨念がこめられていた。はたして事件の黒幕は。
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