1995年3月31日発売
マイアミ市警の女刑事バレンのもとに悲報が届いたのは、深夜だった。最愛の姪スーザンが惨殺されたのだ。犯行手口は女子学生ばかり狙う連続殺人犯のものと一致する。警察は以前からマークしていたアラブ人学生宅で動かぬ証拠を発見、男も一連の凶行を認めた。だがバレンは、残された犯人の唾液に飲酒の形跡があったことを思い出した。イスラム教は飲酒を禁じているー真犯人は別にいるのだ。彼女は単独捜査を開始した
報道カメラマンの顔の下に殺人の衝動を秘めた男、ダグラス・ジェファーズ。彼は、罪もない女子学生アンを記録役にして、かつて自分が殺人を犯した場所を再訪する旅を続けていた。一方バレン刑事は、ジェファーズの弟である精神科医マーティンを訪ね、協力を求めるが…。姪の復讐を誓う女刑事、兄を自首させようとする精神科医、凶行の総決算を目論む殺人者、彼の虜となった女子学生ー大陸を縦断する追跡劇の結末は。
わたしが勤める美術館に、フランスの画商がレンブラントの絵を寄贈するといってきた。だがその男は美術界の異端児で、事前の科学的な検査は認めないという。寄増は受けるべきか。恋人と過ごす休暇を犠牲にして、わたしは絵を鑑定するためフランスへ赴くが、そこで殺人事件に巻きこまれようとは…好調、美術館学芸員クリス・ノーグレン・シリーズ第三弾。
富士スパイルランドで殺人事件が起きた。時速115キロで疾走するループコースターから、赤いコートを着た若い女性が墜落したのだ。4年前から行方を絶っていた有沢製薬の柳瀬雪だった。事件の少し前、有沢製薬の委嘱をうけて新薬の開発をおこなっていた雪の伯父柳瀬博士が、葉山の研究室で殺害されていたことがわかった。県警が捜査に乗りだした矢先、警察庁の宮之原警部宛に怪人18面相を名乗る差出人から、犯人を示唆する不敵な挑戦状が舞い込んだ…名警部が遭遇した、列島を縦断する史上空前の難事件。第一弾。
桃花源にまつわる謎と今上帝の世継ぎにあたる白載星の命を狙う劉妃一派の包囲によって、六和塔の頂きの決闘の果てに銭塘江に落下した載星と刺客の殷玉堂は、蘇州の運河を漂っているところを范仲淹に救われた。彼は進士出身の官僚で、載星が捜し求める生母のことを知っていた。その母から向けられた目付役の落第挙人、包希仁や陶宝春という旅芸人と載星の周りには奇縁で結ばれた人物が多すぎる。敵である己が、この男と行を共にする不思議さを玉堂は思った。長江流域を舞台に波瀾万丈の大ロマン、いよいよ佳境に入る第三弾。
ザトウクジラたちは、緑の光の記憶に包まれて生まれ、やがて「光のわだつみ」へと召されてゆく…。のちに群れの長となるザトウクジラのフルナが回想する若き日々。母親の巨体の陰に守られて育った赤ん坊のころ。幼なじみのローテと遊んだ記憶。畏怖に満ちた父親との対面。そして、長老から聞かされた神秘の物語…。やがてフルナにも、成年期の〈孤独な巡航〉に旅だつ日がやってきた。途途であう仲間たちは、イルカ、カモメ、アホウドリ、ラッコ。だが、人間だけは…。詩人としても有名な著者が、哀調を帯びた鳴き声で〈歌うクジラ〉として知られるザトウクジラを主人公に据えて、ファンタスティックにつづる、海の民たちと大自然への賛歌。
たった一人の妖術師の騙し討ちにあい、一族を滅ぼされたアルドリック。生れ育った城も妖術師の手におち、執拗に命を狙われる。だが隠遁した大魔術師に救われて、彼は復讐を誓った。国家間の覇権争いの背後で蠢く企みとは。彼の行く手を阻むのは、五百年の時を越えて甦える今一人の妖術師、次々と繰り出される異形の化物、むくむくと身を起こす死人たち…剣術と魔術の大合戦。
本書はC・S・ルイスの珠玉のファンタジー『ナルニア国年代記』に様々な角度から光をあて、その魅力の秘密と特質を明らかにしようとする試みである。C・S・.ルイスについてあまりよく知らない方々にとっても、ルイス文学の格好の入門書としての役割を充分に果たしてくれる豊かな内容を含んでいる。また、児童文学一般、ファンタジー、キリスト教と文学の関係などに関心を持っている方々にとっても有益で楽しい読み物となるに違いない。増補改訂にあたって新しい章を一つ加え、主要書目を増補し、新しい挿し絵と入れ換えた。