1996年6月5日発売
高松を20時36分に出発した寝台特急『瀬戸』は一路、東京を目指した。偶然に個室の向かいあう席に坐った高校時代の同級生の若い男と女。その女が死体となって発見されたとき、列車は、走る“鋼鉄の柩”と化した。女蕩しの民間調査員鏑木一行が、美人の不審死体からバイオレンスな手法で隠れた犯人を割り出す。
元法務大臣・榎木雪夫の孫が誘拐された。1億円の身代金奪取のため犯人が仕掛けた巧妙狡猾なトリック。もうひとつの悪辣怜悧な陰謀。雪夫の義父で“昭和最後の怪物”と呼ばれる政界の重鎮・大河原善造一族の封印された過去が翳を落とすなか、事態は元秘書・平岡道義の業火の記憶と交錯していく。
累計10万部突破のロングセラー! 軍略の才と仁徳を併せもった戦国一の器量人。 官兵衛が荒木村重のいる有岡城に入ったまま出てこない、と聞いた信長は、裏切られたと思い、 直ちに 「官兵衛の子、松寿丸を殺せ」と秀吉に命令した。 しかし、官兵衛を信じる秀吉は竹中半兵衛と謀り、秘密裏に松寿丸をかくまうのだったーー。 秀吉の信任厚く、天下統一に向かって縦横無尽の活躍をした黒田官兵衛。 敵将からもその人徳を称えられた名軍師の生涯を描く長編人物小説。 信長は時代が生んだ天才である。そして天才に相応しく、古いこの国の慣習を根こそぎ改めていった。だが信長には、覇道はあっても王道はない。王道を歩もうとしない王は、いつかこの世から拒まれ、不慮の死を遂げる、と官兵衛は思った。 すると、官兵衛の心中に不逞の野望が芽生えた。 これから天下はどうなる、と思った時、官兵衛は秀吉の耳もとで囁いた。 「との! 天の時が訪れてござる。天下をお取りなされ!」 (本書より) 文庫書き下ろし。
女が我に返った時には、自分の右手に青銅の花瓶をしっかりと握っていた。床には頭から鮮血を流して倒れている男の姿があった。-翌朝、殺人事件の第一報が入り、ただちに警視庁捜査一課は現場に急行した。死体は大型デスクの上に置かれ、殺害場所から動かされていた。奇妙な殺人現場。そして被害者は家具販売会社の専務、戸井村吉継、次期社長の有力候補だった。流しの犯行か怨恨か。捜査は難航し、更に次の殺人事件が。八木沢警部補の「謎を解く鍵は伊豆修善寺に」の推理は果して…。