1996年8月6日発売
無宿人別帳無宿人別帳
人別書きを持たずに故郷を出奔した者に就く職はない。無宿者は江戸制度の谷間であったー。賭場の喧嘩で八丈島へ流され、赦免船を待ちわびる忠五郎、牢の火事で思わぬ自由を得た平吉、佐渡から島抜けを図る新平、入墨を暴かれて堅気の暮しを失う卯助など、自由と公正を渇望する男達を描いた傑作時代短篇集。
眠り人形眠り人形
美しい姉と、その陰でいつも損な役まわりを演じてきた妹。だが、大人になってヒロインと脇役という立場は逆転してしまう。心にわだかまりを持つ姉妹それぞれに、ある日、大事件がふりかかる。姉妹の屈折した肉親愛をほのぼのと描く表題作の他、向田ドラマの秀作「花嫁」「当節結婚の条件」の三篇を収録。
封印封印
ボクサー崩れの酒井は、恩人・津村のパチンコ店で働く釘師。ある日苦情に対応したが、以後査察や業者の取引中止が相次ぎ、何者かに身に覚えのない“物”を渡せと脅迫され、ついには津村が失踪する。大阪中のヤクザが政治家をも巻き込んで探している物とは何か。酒井は封印を破り、自らの拳をふるって立ち向かう。
南の島のティオ南の島のティオ
受け取る人が必ず訪ねてくるという不思議な絵ハガキを作る「絵ハガキ屋さん」、花火で「空いっぱいの大きな絵」を描いた黒い鞄の男などの個性的な人々とティオとの出会いを通して、つつましさのなかに精神的な豊かさに溢れた島の暮らしを爽やかに、かつ鮮やかに描き出す連作短篇集。第41回小学館文学賞受賞。
PREV1NEXT