1997年10月23日発売
愛知県犬山市の明治村で、大京物産課長・高桑雅文の死体が発見された。バッグの中には血染めの回数券が入っており、しかも被害者の血液型とは違っていた。事件発生時、美濃で和紙の取材をしていた浅見光彦は高桑の顔に記憶があった。数日前、「狂言強盗か」と報道された宝石商失踪事件の画面に彼の姿が映しだされていたのだ。ふたつの事件に一体どんな関係が?浅見は殺人現場に赴くのだが…。長編旅情ミステリー。
亜由美がアルバイト先で知り合った十六歳の女子高生・君江が、三十六歳のサラリーマン・三沢と結婚することになった。式の日取りも決まったが、君江の叔父・戸部がこの結婚に大反対。ところが、仲人をつとめる殿永が刑事だと知った途端、戸部は手のひらをかえしたようにふたりの結婚を祝福する。戸部には何か、よほど警察に知られたくない「秘密」があるらしい…?年齢差二十歳のカップルの行く手をさえぎる数々の障害。それを乗り越え、ふたりは無事ゴールインできるのか。
新宿で10年間任された酒場を畳む夜、郷田克彦は血染めのシャツを着た少女を店内に匿った。怯えながらメイリンと名のる少女は、監禁場所から脱けだす際、地回りの組長戸井田を撃ち、組織に追われていた。さらに克彦は日本に流れつくまでの難民生活、日本での過酷な労働を凌いできたメイリンの境遇に衝撃を受ける。欲望を孕んだ週末の新宿に蠢く暴力団の凶手。警察の執拗な捜査。この娘を救わなければならない。メイリンの姿が、この街に逃れてきた自分の姿と交叉した時、克彦は刻々と迫る二重包囲網の突破をはかった。
男性優位主義の色濃く残る巨大な警察組織。その中で、女であることを主張し放埓に生きる女性刑事・村上緑子。彼女のチームは新宿のビデオ店から一本の裏ビデオを押収した。そこに映されていたのは残虐な輪姦シーン。それも、男が男の肉体をむさぼり、犯す。やがて、殺されていくビデオの被害者たち。緑子は事件を追い、戦いつづける、たった一つの真実、女の永遠を求めてー。性愛小説や恋愛小説としても絶賛を浴びた衝撃の新警察小説。第十五回横溝正史賞受賞作。