1997年5月25日発売
楚材とは「外国で用いられる人材」を意味する。自国を滅ぼした他民族に仕えた父が、わが子に与えた名だった。長じて儒仏の教えと天文を修め、北の草原から押し寄せる圧倒的な力から、人命と文明を守る志を得る。チンギス・ハンに召された時、楚材28歳。遙かサマルカンドへ至る西征に従い、「焼き、殺し、奪い、去る」モンゴル軍の破壊の様を目の当たりにするのだった。独自の歴史観による大ロマン。
西征東伐に明け暮れるモンゴル帝国の政の頂点にあって、楚材は孤軍奮闘、政・軍・監の三権分立や文教政策に力を尽くす。モンゴルの破壊力を、民衆を守る警察力に転化する大目標があった。しかし、大ハンにつづき、彼に絶大な信頼を置いた太宗オゴディが没し、激烈な後継者争いが…。チンギス・ハンに仕えて23年、楚材52歳の冬のはじめだった。ユーラシアを舞台に描ききる、天才宰相の波瀾の生涯。
純白の羽二重を着流し、白柄白鞘の剣をたずさえた美剣士、源氏九郎は、関白より倒幕の資金調達を命じられた。そして密かに徳川家康が隠したという埋蔵金を探し始め、火焔剣、水煙剣の秘密にたどりつき、争いの渦中に入る。九郎に挑む幕府の隠密仙藤鬼十郎、剣の鬼夢現天山らを相手に源氏九郎の秘剣・揚羽蝶が縦横に舞う。
旗本大草主膳の一子徹太郎は江戸城中の少年武芸試合で見事優勝した。その褒美として妾腹の弟源次郎を所望し、人も羨む兄弟仲となった。成人後、共に無念流の皆伝を受けた兄弟は花見に出かけたが、予期せぬ喧嘩に巻き込まれた兄は相手を斬ってしまう-お家断絶の危機に瀕して弟源次郎が立ち向かう殺気波乱の時代長編。
名探偵復活を提唱し、多彩なシリーズ・キャラクターを創造した都筑道夫。本格ミステリのファンを魅了し続けるその名探偵たちが一堂に大集合!なまけ者の詩人探偵が大活躍する「キリオン・スレイの生活と推理」、究極のアームチェア・ディテクティブ「退職刑事」シリーズから、謎解きを前面に押し出した捕物帳の傑作「なめくじ長屋捕物さわぎ」まで、11人の名探偵が競演して繰り広げる、華麗な謎と論理のエンターテインメント!巻末には、ファン待望の都筑道夫全著作リストを収録。
一匹狼・片岡直次郎が活躍するコミカルなオフビート・アクションから、都会に生きる人々の生活を、冷めた目で優しく見つめる正統派ハードボイルド・西蓮寺剛シリーズまで、名手・都筑道夫が描き出す11の物語!他に、エド・マクベインの名作「酔いどれ探偵」シリーズのパスティッシュ、オカルティックな事件に挑むルポライター・雪崩連太郎、SFミステリの傑作「未来警察殺人課」、都筑ミステリの到達点ともいうべき下町人情ハードボイルド「ホテル・ディック」シリーズ等々、アクション・ハードボイルドの探偵が総登場。