1997年8月10日発売
愛の生活・森のメリュジーヌ愛の生活・森のメリュジーヌ
『わたしはFをどのように愛しているのか?』との脅えを透明な日常風景の中に乾いた感覚的な文体で描いて、太宰治賞次席となった十九歳時の初の小説「愛の生活」。幻想的な窮極の愛というべき「森のメリュジーヌ」。書くことの自意識を書く「プラトン的恋愛」(泉鏡花文学賞)。今日の人間存在の不安と表現することの困難を逆転させて細やかで多彩な空間を織り成す金井美恵子の秀作十篇。
抹香町・路傍抹香町・路傍
文学に憧れて家業の魚屋を放り出して上京するが、生活できずに故郷の小田原へと逃げ帰る。生家の海岸に近い物置小屋に住みこんで私娼窟へと通う、気ままながらの男女のしがらみを一種の哀感をもって描写、徳田秋声、宇野浩二に近づきを得、日本文学の一系譜を継承する。老年になって若い女と結婚した「ふっつ・とみうら」、「徳田秋声の周囲」なども収録。
二重自我(ドッペルイッヒ)二重自我(ドッペルイッヒ)
バージルシティの刑事スタンレーは美貌の警視ロスフィールドと肉体関係にある。ロスフィールドにはジン・ミサオという愛人がいた。精神科医のジンは、死者の記憶を読むという特殊な能力に悩むロスフィールドを護る存在でもあるのだ。美しき男たちの危険な三角関係に進展はあるのか-?そして、市内で発生した連続猟奇殺人事件の犯人は何者なのか-。
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