1998年8月31日発売
天才分子デザイナーでテロリストのボーアが作った違法な分子機械ボーア・メイカーは、適応性人工知能をもち、宿主の肉体まで自由に改変できる。使い方しだいでは、連邦の存在さえ危うくしかねない驚異の極微機械だ。このボーア・メイカーが盗みだされ、偶然のことからスラム街の女性フォージタのものになるが…究極のナノテクがもたらす未来世界の驚異を描く、ローカス賞処女長篇賞受賞作。
女性考古学者ヒルディがスコットランドで発掘した遺跡には、ヴァイキングの大型船が完璧な形で保存されていた。だが、保存されていたのは船や財宝だけではなかった。なんとヴァイキングの英雄たちも完璧に保存されていたのだ!彼らは、邪悪な魔法使いの王の魔手から世界を守るため、一千年にわたる長き眠りからいま目覚めたのだという…古代の英雄たちが巻き起こす奇想天外の大騒動を描く傑作ユーモア・ファンタジイ。
今日はなんだか変な気分。気がつくと、ジョン・トムはなんと青ガニに変身していた!まもなく元に戻れたものの、魔界全体にさまざまな異変が広がっていた。どうやら、宇宙を自由に漂う“無”が何者かによって閉じこめられたのが原因らしい。ジョン・トムは、エスカレートしていくやっかいな現象に手こずりながら、師匠の魔法使いクロサハンプらと共に異常事態の打開に乗り出した!抱腹絶倒のユーモア・シリーズ第5弾。
双子の姉と暮らすミス・オイスター・ブラウンは、五十歳を迎える現在までいつも汚れなき生活を心がけてきた。ところが、姉の留守中に犯したささやかな犯罪をきっかけにオイスターは思いもかけない窮地に立たされることに…模範的市民の中年女性に降りかかった皮肉な運命を描く表題作をはじめ、ブラック・ユーモアや洒落た味わいなど短篇巧者ラヴゼイの魅力が堪能できる18篇を収録。『煙草屋の密室』に続く第二短篇集。
ある秋の晩、ロンドンのスティーン診療所の地下室で、事務長のボーラムの死体が発見された。彼女は心臓をノミで一突きされ、木彫りの人形を胸に乗せて横たわっていた。ダルグリッシュ警視が調べると、死亡推定時に、建物に出入りした者はなく、容疑者は内部の者に限定された。尋問の結果、ダルグリッシュはある人物の犯行と確信するが、事件は意外な展開を…現代ミステリ界の頂点に立つ著者の初期の意欲作。
女はバークの手を借りたがっていた。彼女の名はボンディー。職業はヌードダンサーだ。しかし、ダンサーとはいっても、彼女が踊るのは酒場のステージではない。場所は高級アパートメントの一室。そこには、ハイテク装置を駆使した専用ステージが配置されている。観客はただひとり、向かいのビルの窓から彼女のプレイを覗き見る、変態野郎だけだ。ボンディーの依頼は、その変態野郎に一泡吹かせてやることだった。男はボンディーのプレイをひとり愉しんでいるのではなく、友人と一緒に眺めながら、嘲笑っていたというのだ。やつに復讐してやりたいの-それがボンディーの願いだった。バークはファミリイとともにボンディーの背景を調べはじめる。やがて彼女の背後に、オレンジ色の目の女ボディーガードを従えた、謎の弁護士カイトの存在が浮かび上がる。ボンディーはカイトがバークに放った餌に過ぎなかったのだ。やがてカイトは、莫大な金を積み、バークにある「調査」を依頼するが…現代社会に巣喰う唾棄すべき悪をアウトロー探偵バークが断つ、シリーズ堂々の第九弾。
『酔いどれの誇り』のミロ・ミロドラゴヴィッチと、『さらば甘き口づけ』のC・W・シュグルーという二大探偵の競演がついに実現した。親の遺産を持ち逃げされたミロと、謎の刺客に襲われ九死に一生を得たシュグルーの二人は、それぞれの思惑を胸に一路メキシコ国境を目指すが、その過程で一人の謎の女の存在に突き当たる。