1999年12月3日発売
賊将賊将
もはや将軍一個の力でおさえることができないほど強大になった守護大名の力、足利義政は迫り来る戦乱の予感になんら力を発揮できず憂悶した。西郷隆盛一筋に生きた「人斬り半次郎」こと桐野利秋は、フランス香水をその身にふりかけ、突撃してくる官軍の中へ斬り込んだ。火付盗賊改の猛士・徳山五兵衛は、持て余した欲望のはけ口を夜毎描く秘画に求めた。抗しえないものと直面する武人たち、その貌が著者独自の人間解釈の妙によって浮き彫りになる。直木賞受賞直前の力作6編をおさめた珠玉短編集。
冬の保安官冬の保安官
シーズンオフの別荘地に拳銃を片手に迷い込んだ娘と、別荘地の保安管理人として働きながら己の生き方を頑に貫く男の交流を綴った表題作をはじめ、飯倉の裏通りにあるバーを根城にする一匹狼のもめごと処理屋を描いた『ジョーカーの選択』、未来の巨大ホテルを舞台に、最悪の麻薬・ローズショットの中毒者で、常に死を見つめながらホテル探偵を続ける男を描く幻のSF連作短編『ローズ』ほか、大沢ハードボイルドの人気シリーズの役者がすれ違う、ファン必読の『再会の街角』を含む9編を収録した出色の短編小説集。
新版ダリの繭新版ダリの繭
幻想を愛し、奇行で知られたシュールレアリズムの巨人ーサルバドール・ダリ。宝飾デザインも手掛けたこの天才に心酔してやまない宝石チェーン社長が、神戸の別邸で殺された。現代の繭とも言うべきフロートカプセルの中で発見されたその死体は、彼のトレードマークであったダリ髭がない。そして他にも多くの不可解な点が…。事件解決に立ち上がった推理作家・有栖川有栖と犯罪社会学者・火村英生が辿り着いた意外な真実とは?!都市を舞台に、そこに生きる様々な人間たちの思惑を巧みな筆致と見事な理論で解き明かした、有栖川ミステリの真髄。
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