2001年2月18日発売
どこかよく分からない場所で、何時かよくわからない真夜中に、ぼくは何度目かの失恋をした。大阪発東京、カップル+男2人。4人それぞれの思いを乗せたドライブ旅行のゆくえは。
平凡な日々を送っていた女子高生「結城音緒」は、ある才能を持っていた。彼女は高い確率で『予知』ができるのだ。ある日、親友の関根杏子が失踪した。音緒はこのことが予知できなかった。その頃街では謎の失踪事件や、正体不明の焼死体が発見される事件が頻発していた。事件に巻き込まれたことを予知した音緒は、『才能』を使って杏子を探し、彼女を見つけることに成功する。だが、その場には杏子が大ファンだといつも語っていた、あの失踪した伝説のバトルホイールレーサー「サムライ・ジョウ」が現れ、『何か』に変貌してしまった杏子を撃ったのだ…大歓声を持って迎えられたスーパーアクションヒーロー伝、疾風怒濤の第二弾。
「-の音を聞くと、何かがおこるんだって」恋人もいなければ、親友と呼べる人間もいない“私”の耳に偶然届いた言葉。たわいのない噂話を耳にしたその日、私は“彼”の声を聴いた。私が待ち望んでいた“彼”。誰にも聞こえない、私だけに聴こえる“彼”の声。彼の声だけを聴きたい、その一心から、私はあらゆる音を排除していくー(「ベルの音が」)。新鋭女流作家が綴る、切なく心を凍らす書き下ろし連作ホラー。
怪異から産み落とされた言葉は文字になり本になり、読んだ人々の心の中に植え付けられていく。やがて本は再び言葉になり口から口へ伝えられていく。ここに記したささやかな怪異たちが、たとえ姿形を変えても生き続けることを願ってやまない(「怪の標本」)。処女作『幻日』で怪談文学の新しい書き手として注目を集めた著者がおくる、待望の書き下ろし作品集。
小説家詠子には秀美と徹という恋人がいたが、徹にプロポーズされたことが元で、二人とも失ってしまう。失意の日々を送っていた詠子だが、ある日自宅の前に徹が現れ口論となる。徹に暴力を振るわれそうになった時、通りすがりの女性、絵里花が救った。彼女は美しく気品のあるお嬢様だった。だが、それは彼女の本性を覆い隠すものでしかなかった…傑作ルナティックホラー、待望の文庫化。
老朽ビルの一室にあるテレビに映し出されたのは、“血だらけの平台の上で断裁される女たち”だったー。その残虐シーンを観てしまった美沙が、現実と幻想の境界を漂う「オーバーヒート」。暗闇の中、車を走らせるなつみを襲ってきたのはーなつみたちだった。そこから先の地獄絵図を素描した「入れかわり立ちかわり」など、書き下ろし八篇をふくむ、全二十篇を収録した恐怖と幻想の傑作集。
流れてくる汗に髪を濡らし、少女は暗い森の中を走っていた。文字通り命を賭けて…。不倫のひとときを終えた刈原篤志と後藤美也子が乗る車の前に飛び出してきた少女は、不可解なメッセージを残して消失する。「つかまらないで、やくそくをまもって」と。その時から二人は恐るべき「何か」に追われはじめる。これは呪いなのか?二人の過去に何があったのか、未来に何が待っているのか?俊英が描くホラー長篇。
自らの罪で詩人を死に至らしめたことを悔い、「真実の恋」を諦めたまま、詩と音楽に慰められて大人になってゆくシェプシ。神の言葉が解明され、禁囲区域であった紫の砂漠は解放されて、世界は混沌をきわめてゆく。天変地異、政変、急激な変化の中で、優秀な書記としてのぞまれながらも、詩人になることを選んだシェプシの運命は…。名作『紫の砂漠』の待望の続篇、書き下ろしにて登場。