2001年6月20日発売
錬金術師の帽子錬金術師の帽子
花火会社の次期社長として平穏な日々をおくる鐘ヶ江英世の前に、一人の男が現れた。かつて才能あふれるバイオリン奏者として英世を導き、やがて過激化した学生運動へと引き込んだ男、鹿野晋二。暴力の過去から追われる英世を、予感の少女と直情の少年は救うことができるのか。多彩な人物像が交響する華麗な花火の世界を舞台に、人間存在の意味を追求する傑作長篇小説。
十歳の戦慄十歳の戦慄
なぜ凄いのか?少女を含めて、この作者は女性たち、たとえばオフィスガールでも、おミズの世界の女性たちでも、さらには海外駐在員の妻たちでも、女たちが「集まる」場の光景を実に生きいきと描き出す。女性の生命感にはずみのつく瞬間を、これほど鮮やかに明快に書く作者はそんなにはいない。パワーがあって愛嬌があり、悪意を鋭く見る。
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