2002年1月20日発売
源内狂恋源内狂恋
筆を執ると、あの女が立ち現れ、語り始める。本草学者、戯作者、発明家として一世を風靡しながら、取るに足らぬ男を斬った平賀源内。いま胸に去来するのは、ありあまる才覚や機会をことごとく食いつぶした悔恨とあの女と睦み合った日々、そして木枯らしの凍てつくあの一夜のことだった…。男と女のエゴと情愛を描き尽くした傑作長篇。
鳶がクルリと鳶がクルリと
超優良企業の総合職としてバリバリだった中野貴奈子は上司のひと言に魂を抜かれ、辞表を提出。プーの生活から再就職したのは鳶職人の集合体、その名も「日本晴れ」だった。俗世間からずれまくった異能の職人達が挑んだのは難易度特Aクラスの巨大な現代彫刻の取り付けと会社のユートピアの創造だった…。ひねりのきいた笑いとでっかい感動が炸裂!ひたすら面白い娯楽小説の新潮流。
魔羅節魔羅節
仕事にでかける千吉は、髭剃りあとに化粧水のオイデルミンをつける。きつく褌を巻くと、最後の仕上げに、女の腰巻をつける。客の前で気をやる時には、いつも幻の唄が聞こえた…。貧しくとも肩を寄せ合って生きる男や女、その日々の生活に忍び寄る、淫靡な幻想に彩られた伝承の恐怖!ああ、幻の唄が聞こえる。あの魔羅節だ。懐かしくもおぞましい、あの拍子だ…。哀しい血の匂いがしたたる傑作作品集。
火群の館火群の館
高台に建つマンションで共同生活を始めた明日香と真弓。その新しい部屋で奇妙な出来事が次々に起こる。バスルームに残された得体の知れぬ毛髪、新聞受けからこぼれ落ちる蛆虫…。そして真弓が浴槽で謎の死を遂げる。彼女の恋人も失踪し、残された手紙には「僕たちは許されるのか」という走り書きが。やがてマンションの隣人たちは不気味な行動を起こし、暗く湿ったボイラー室の扉が開かれる…。第2回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞作。
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