2002年10月23日発売
浅見光彦に豪華客船「飛鳥」での世界一周クルーズ取材の依頼が舞い込んだ。しかし、出航直前、浅見は「貴賓室の怪人に気をつけろ」という謎の手紙を受け取る。そのうえ、貴賓室であるロイヤル・スイートの一室には作家・内田康夫までもが乗っていた。ただならぬ予感をはらみながら、船は大海へ華々しく出航した。だがその後、船内では数々の怪事件が発生するー。絶対不可能な状況の中、犯人はどうやって犯行に及んだのか。浅見光彦と岡部和雄、二人の名探偵が船上の“罪と罰”に迫る!浅見光彦が初めて海外へ飛び出した記念碑的長編。
一枚のモノクローム写真に秘められた懐かしくいとおしい日々の記憶。人生の晩年を迎えようとしている女性随筆家は、愛した男への思いを胸に生きてきた。だが、小さな出来事が平穏な生活にさざ波をたてる…。表題作「夢のかたみ」ほか、再会の一夜のドラマを綴る「チルチルの丘」など、遠い日のエロスを溢れるノスタルジーで描く。失われた時間への哀惜と感傷に満ちた5編。
甘ったれでわがままな7歳の少女、手毬。家族に愛され、平穏な日々をおくるはずだったのに…。17歳、かつては姉だった人を母親と呼ぶ二人だけの暮らし。27歳で掴んだ結婚という名の幸せ。その家庭を捨て幼なじみと駆け落ちした37歳。そして…。複雑に絡みもつれる家族の絆、愛と憎しみ。運命に流されるひとりの女性の歳月を、半世紀にわたって描く連作長編小説。
総務部人事課係長の石原滋が一目惚れした十一歳年下の妻瀬里は、フランス人形の如き美しさ。だが、表情に乏しく、夫との肉体的接触を嫌った。子供を作るときでさえも。耐えかねた滋は、部下の高田千絵と浮気をするが、それを察知した瀬里は、自殺騒動を起こし「別れてください」と懇願する。しかし、妻の行動に激怒した滋は、離婚を断固拒絶して自室に引きこもり、家庭内別居で対抗する…。