2004年12月21日発売
「山背」とは初夏の東北地方に吹く冷たい風のことをいう。その山背が渡る大地で様々な厳しい営みを続け、誇り高く生きる男たち。マタギ、漁師、川船乗り、潜水夫…。大自然と共生し、時に対峙しながら、愛する家族のために闘う彼らの肖像を鮮やかに描き、現代人が忘れかけた「生」の豊饒さと力強さを謳う九編の物語。作家の原点が凝縮された傑作短編集。
貧農の子に生まれた利助(後の博文)は、吉田松陰の「社会に役立たぬ学問は学問にあらず」との教えに開眼。高杉晋作、桂小五郎、坂本竜馬らとの出会いによって自らを成長させていった。イギリス留学などで培った世界的な視野で幕末の激動を乗り切ってゆく。「日本の夜明け」の原動力となった幕末の青年たちの中で、ひときわ異彩を放つ伊藤博文の若き日々。
あたしは目を大きく見開いた。涙が零れそうになるのを我慢してー失恋をきっかけに、OLから銀座のホステスに転身したリュウ。厳しいノルマ、競争、嫉妬、いじめ。罵られ、頬を張られながら銀座のしきたりを学んでいく。深夜になれば、いつも誰かが控室で泣いている。でもあたしは負けない!華やかで、孤独で、悲しい、夜の女たちの闘い。
「エセー」刊行後、ミシェルは持病に苦しみながらも国外に旅立ち、見聞を広めていく。精神は未知のもの、新奇なものに触れさらに昂揚した。再びモンテーニュの城館へ帰着するや、推薦されてボルドオ市長となる。国情不安定、ペストの流行といった困難を極める中、人間的英知はいっそうの高まりをみた。偉大な思想家の魂を跡づける長編、ここに完結。和辻哲郎文化賞受賞。
“アーヴによる人類帝国”と“三カ国連合”との戦争は七年目に突入した。戦況は帝国に有利に展開していたが、さらなる攻撃のために、新たな作戦『双棘』が発起され、ラフィールとジントは、襲撃艦“フリーコヴ”で、ラフィールの弟ドゥヒールは、戦列艦“カイソーフ”に乗り組み、出撃する。そのころ、皇帝ラマージュと“ハニア連邦”とのあいだで、とある密約がなされようとしていた。大詰めを迎える戦争、その行方は。
ある夜、まちの夢の中に謎の仙女が現れて「三日後の満月がのぼるまでに男と結ばれねば、一生結婚できないであろう」と、とんでもないお告げをくだす。本気にしないまちだが、三日後、神社の蔵書の中から巫女に運命を告げるという仙女に関する記述をみつけて…。表題作の他、短編二本も同時収録。