2004年2月29日発売
人を殺め、金を奪い、男を追って満州までやってきた美貌の女郎。大連、奉天、新京、ハルビン…。昭和初期の大陸を舞台に繰り広げられる、めくるめく愛憎劇。
彼がいなければ世界はないのに、どうして彼のいない現実を生きなければいけないのだろう(『お縫い子テルミー』)。アルバイトをして、ひと夏の経験を買った。ぼくは来週の木曜日、十一歳になる(『ABARE・DAICO』)。誰かに明日を翻弄されても、自分らしく強く生きてゆく。心優しき人々に出逢える、二つの物語。
十歳の双子の姉妹が、母親を亡くして初めて迎える夏のこと。屋根裏部屋で、二人は帽子でない帽子“スペシャリストの帽子”を手に入れた…世界幻想文学大賞受賞の表題作ほか、既婚者としか関係を持たないルイーズと、チェリストとしか関係を持たないルイーズー二人のルイーズを描くネビュラ賞受賞の「ルイーズのゴースト」など、米ファンタジイ界最注目作家が軽妙なユーモアにのせて贈る第一短篇集。
もと新聞記者クィラランの親しい友人であるバンバ夫妻がブラック・クリークで宿屋を始めた。クィラランはココと共に陣中見舞に訪れるが、宿屋になっている建物が地元では幽霊屋敷として恐れられているという噂を耳にする。真相を暴こうとクィラランが調査に乗り出した直後、行方不明だった同宿の客が川で死んでいるのが発見され、宿泊客たちに容疑がかけられるが…混迷する事態にココの鋭い爪は真実を捕らえられるか。
セックス中毒の僕は、医大をドロップアウトし、植民地村ダンズボロでエキストラのバイトをしている。カウンセリングに通い、なんとかセックス中毒から抜け出そうと悪戦苦闘しているけど、知り合った売春婦や教師やナースたちの誘惑をやっぱり断りきれない。しかも不幸は重なるもので、母親がいかれてしまって毎月3000ドルの入院費を払わなきゃならなくなった。世の中うまくいかない。しかたなく、僕は毎晩レストランに出没し、「ある演技」をして金を稼ぐことを思いついたんだけど…アメリカ文学界のホープが描く、型破りで切ない、愛と友情とセックスと親子の物語。
夫を交通事故で亡くし、ホームレス状態におちいった29歳のミシェル。最愛の子どもたちまで冷酷な義父に取り上げられてしまう。何とか子どもを取り戻したい彼女は、「90日で100万ドル」稼ぐ約束を義父と交わす。さあ、どうする?ミシェルはいかにして不可能を可能にしていくのか。