小説むすび | 2004年4月10日発売

住所はなく、消印は「葛飾」、そして差し出し人の名前は、「すばらしい日本の戦争」…名作『さようなら、ギャングたち』に先立つこと一年、闘争、拘置所体験、その後の失語した肉体労働の十年が沸騰点に達し、本書は生まれた。「言葉・革命・セックス」を描きフットワーク抜群、現代文学を牽引する高橋源一郎のラジカル＆リリカルな原質がきらめく幻のデビュー作。

新しい父親、１２年越しの恋人、血の繋がらない兄への想い、母の死…思春期から大人へ、さまざまな出逢いと別れに揺れ、心の波打つ日々を丁寧に綴った公子の２０年。

解散の危機にたつ社会人野球チームに身を置くかつての大学野球のヒーロー・海藤敏は、ある事件を境に一念発起…。日本版『フィールド・オブ・ドリームス』。

老中水野忠邦の“奢侈禁止令”で、江戸の街は灯が消えたよう。蒔絵師・孝太は禁令を破って、幼なじみの仕事を受けたが…。江戸の庶民の哀感を、心を込めて描く意欲作！！茨城県・長塚節文学賞小説部門大賞受賞。他に市井もの二編、武家もの一編を収録。知らずのうちに涙こぼれる逸品ぞろい。