2005年8月1日発売
ぱちもん(小学館文庫)ぱちもん(小学館文庫)
探偵という職業には、どこか胡散臭さが漂う。本書は、そんな怪しげなイメージを地でいく、調査費水増し請求、調査結果捏造なんて当たり前な“ぱちもん探偵”たちのあきれた行状を暴露する、ブラック系連作短篇集。探偵業で得たノウハウを駆使してさまざまな悪事を計画する「受けた恩義は」、探偵として一本立ちするという野望を抱いた男のトホホな顛末を描いた「カネのにおい」ほか全六編を収載。『かび』『とげ』など、巻き込まれ系小説の旗手・山本甲士氏が、シニカルな笑いに挑んだ新境地。
恋やつれ恋やつれ
岩鉄こと南町奉行所同心、岩本鉄次郎はこのところ調子がでない。追っている盗賊「女郎蜘蛛」にはいつも逃げられてしまう。何せお江戸は広く、賊がどこに現われるのやら、まるで見当もつかない。思わず長ったらしい息を吐けば、十文字屋のおてんば娘に「恋わずらい」といわれる始末。岩鉄はもう一度、溜め息をついた。中年同心のせつない恋ごころをかなえるべく、深川で一番のじゃじゃ馬小町が一肌脱いだ。好評の第2弾。
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