2005年8月25日発売
警視庁OBの岡田は、山陰への旅の途中で宝石店に勤める北野という青年に出会う。翌日、北野の死体が城崎で発見された。事情聴取を受ける岡田の元へかつての後輩、十津川が現れる。東京で殺された女性の部屋に、北野の名刺が残っていたのだ。岡田が北野の足跡を辿ると、彼から宝石を買おうとしていた地元の名士が連続して不審死していたという事実が分かり…。山陰の温泉町での連続殺人に秘められた、哀しき愛の形とは。
奄美大島の海岸に流れ着いた一枚のフロッピー。そこに記されていたのは奇怪な日記だった。ある大学のサークル一行が古文書を元に、人魚や朱雀、仙人が現れるという伝説の島“沙留覇島”へ渡った調査記録だった。だが、日記の最後に記されていたのは、殺人事件を告げるSOS-フロッピーを拾った写真家の猫田は警察へ届け、大規模な捜索が行われるが、それと思しき島には誰一人いない。猫田は幻の島探しに乗り出すが…絶海の孤島を舞台にした、驚天動地の本格+ネイチャーミステリ。
医学的に脳死と診断されながら、月明かりの夜に限り、特殊な装置を使って言葉を話すことのできる少女・葉月。生きることも死ぬこともできない、残酷すぎる運命に囚われた彼女が望んだのは、自らの臓器を、移植を必要としている人々に分け与えることだったー。透明感あふれる筆致で生と死の狭間を描いた、ファンタジックな寓話ミステリ。第二十二回横溝正史ミステリ大賞受賞作。
「コースアゲイン」とは「進路を元に戻せ」という船の専門用語だ。男はどこへ向かい、なぜ元に戻ろうとしているのか。この言葉は何を意味しているのか。物語の中には、酒があり葉巻があり、船があり海がある。そして男がいて女がいる。壮年の作家を主人公とした、一作一作が著者の心の傷から滲み出しているような、あたかも私小説とも思える20の短篇が収められている。
東海の小藩で青春を送る筧新吾、花山太郎左衛門、曽根仙之助の三人の青年武士たち。厳格な身分社会の中で、立場や家格の違いをこえて、かたい友情に結ばれた三人だったが、彼等にもやがてそれぞれの道へ進むべき時が訪れる。藩命を受けて江戸へ向かった彼等に、藩をわがものにしようと企む蟠竜公の陰謀が牙をむくー。若き侍たちの旅立ちと胸のすく活躍を描く、青春時代小説の傑作。
新吾は、藩主の菩提寺で謎の遣い手と死闘を繰り広げる。どうやら藩の内部に蟠竜公一派が再び深く根をはりめぐらせているらしい。そのうえ幕府の高官ともつながりを持っているようだ。果たして蟠竜公の狙いは何か?また隠密組織「白十組」も動きだした。江戸藩邸の誰が敵で、誰が味方なのか?新吾、太郎左、仙之助は力を合わせて、陰謀に立ち向かうー。傑作青春時代小説、感動の大団円。
「世界の果ての壁」の謎を追うルーンとフィリエル、ユニコーンを駆り竜退治に赴くユーシス。彼らが辿り着いた南の地には、東の帝国の侵略軍がーグラールの危機に、フィリエルは女王と対峙するため聖神殿へ乗り込む。賢者とは?吟遊詩人とは?わらべ歌や童話に隠された「世界」の秘密がついに明かされる。
岩井絵里と遠野樹は事務所を共有している仕事のパートナー。樹がコーチをしている高校のサッカー部員が不祥事を起こし、その責任を感じた彼は、四国遍路へ旅立つ。絵里のもとへ遍路日記が送られてきたが、ある日突然それが途絶える。ちょうどそのころ、神戸で変死体が発見された。死んだ女性は、四国遍路の納札を握り締めていた。そこに書かれていたのは「遠野樹」という文字-。
歴史学者である妻伸子の助言のもと、大胆な推理を展開する大和田の小説は、発刊すると、たちまち評判となった。しかし、伸子の勤める大学を牛耳る先輩教授は、妬みから大和田を中傷し、伸子を学内から、追放しようとする。数日後、「インターラーケン城」と名付けられた広大な別荘の中で、その教授は惨殺されていた。「聖徳太子の謎」に端を発する殺人事件は意外な展開を見せ、第2、第3の悲劇がそこに幕を開けようとしていた。