2006年9月20日発売
母ひとり子ひとりの家庭に、ある日、謎のちょんまげ姿の男があらわれた。名は、木島安兵衛。聞けば、180年前の世界からやってきたお侍だという。男は家事に目覚め、お菓子づくりに励み、気がつけばテレビの人気者になっていた-。炊事、洗濯、掃除に、子育て、すべて完璧。こんな男、一家に一人ぜひほしい!?理想のモテ男はお侍でした。まったく新しいスーパー主夫エンタテインメント。
上質の阿片が海外に出回り、その産地として、日本をはじめ諸外国から槍玉に挙げられた江戸国。老中から探索を命じられたのはご存知「金春屋ゴメス」こと長崎奉行馬込播磨守。ゴメスは、異人たちの住む麻衣椰村に目をつけるが…。辰次郎、NY出身の時代劇オタク・松吉、海外旅行マニア・奈美といった面々はもちろん、女剣士朱緒をはじめ新メンバーも登場し、ますますパワーアップした異色時代小説。
ため息をひとつつく。哀愁ってやつだー私が“出会った”青い自転車が盗まれた。呆然自失の中、私の自転車を探す日々が始まる。父は単身赴任、母は家事放棄の“粗大ゴミ”。私と姉と母、女三人の日常は、どこか不穏ながらも、永遠に続くかに見えたのだが…。第40回文藝賞受賞作。
誰もがため息をつくような美貌。仕事はトップセールスを誇り、恋人はエリート医師…。“営業部の花”と呼ばれる沙和子に憧れる真澄は、彼女を観察するようになる。すると、その秘密主義、完璧主義は、常軌を逸しているように見えた。転職、転居を繰り返す、沙和子の素顔に隠された奇妙な過去とは?完璧を目指す女。その裏側に潜む社会病理を描いた傑作。
“竜門猟犬探偵舎”に奇妙な依頼が舞いこんだ。動物プロダクションから傷ついた一頭のトナカイとともに一人の少年が失踪、その行方を追ってほしいというものだった。竜門卓は相棒の猟犬ジョーを連れ、その臭跡を辿りながら有馬の山中へと分け入るが…(「トカチン、カラチン」)。心優しきアウトローたち。自らの信念に従い行動する男の美学。感動の連作短編集。