2007年3月31日発売
大奥で「玉の輿」として上りつめた五代将軍・綱吉の母の激烈な一生。京での幼きお玉時代から、三代将軍・徳川家光の側室となり従一位まで上りつめた桂昌院。女の嫉妬渦巻く大奥での真剣あいうつ駆け引き。波瀾の女人の一生を描く書き下ろし長編。
勅任艦長への昇進の内示を受けたホーンブロワーは、ホットスパー号を後にした。給水船に乗った彼は、正式な任命を受けるため英国へ向かう。だがその途上、フランス艦に遭遇。その戦闘で、彼はナポレオンとの戦いの行方を左右する重要なものを手に入れるが…未完の長篇として有名な表題作を初め、不滅の海洋冒険シリーズが生まれた秘話を綴る「ホーンブロワーの誕生」と短篇二篇ほか用語解説などを収録。ファン必読の書。
1939年、一人のヒーローが誕生する。作家レイモンド・チャンドラーの手によって生を受けたこの私立探偵は圧倒的な支持を受け、以後20年間にわたって活躍した。その名はフィリップ・マーロウ…ハードボイルドの枠を超え、時代を超えて支持されてきたヒーローを現代の気鋭ミステリ作家たちが甦らせる、画期的トリビュート・アンソロジー!チャンドラー自身の手になる唯一のマーロウもの短篇「マーロウ最後の事件」収録。
絶世の美女ヘレネをめぐって始まったトロイア戦争を戦っていたギリシア神話の英雄たちは、圧倒的な力をふるう神々に対してついに叛旗をひるがえした…これまで、地球化された火星のオリュンポス山の神殿に住む神々は、トロイア側あるいはギリシア側につき、英雄たちとともに戦争をしていた。その戦いは、まさにホメーロスの書いた『イーリアス』そのままの展開だった。だが、神々にナノテクで復活させられ、戦争の経過を観察させられていた学師ホッケンベリーの行動が、トロイア戦争を英雄たちの神々への挑戦に変えてしまったのだ。木星の衛星系に住む半生物機械モラヴェックたちは、地球化された火星近傍での量子活動異常の真相を探るべく、調査隊を送りこんだ。やがて、調査隊の一員だったエウロパ属のマーンムートとイオのオルフの活躍で、大挙して火星に到着したモラヴェックの援軍が、英雄たちと手を組み、ともに神々との戦いに挑んでいく。圧倒的な力を持つ神々と戦争をはじめたギリシア神話の英雄たちとモラヴェックの運命は…ローカス賞を受賞した『イリアム』に続く、待望の完結篇。
はるか未来の地球で、数千年にわたり、仕事も学問もせず、衣食住のあらゆることを自動機械の下僕たちに任せ、パーティーに明け暮れていた人類の生き方は、ある日、突然襲ってきた大流星雨とともに、大きく変わった。世界の謎を探るべく旅に出たハーマンとディーマンの冒険で、地球をめぐっていた小惑星が落ち、世界中の送電が停止され、自動機械の下僕は動かなくなり、これまで忠実な召使いとして働いていたヴォイニックスたちが人間を殺しはじめたのである。女主人アーダの住むアーディス・ホールに集う人々は、そこに滞在していたオデュッセウスの指導のもと、大きく変貌した世界の状況に対処すべく、独自の活動をはじめていた。だが、そこにも恐るべき敵が近づいてきつつあった…“ハイペリオン”シリーズで人気のシモンズが、ギリシア神話をめぐる物語をはじめ、シェイクスピア、シェリー、ブレイク、ブラウニングなどの戯曲や詩を織りこみつつ描く、トロイア戦争をめぐる壮大なSF巨篇。
イスラエルの都市テルアビブに瀟洒な家をかまえるアラブ系の医師アーミンは、最愛の妻シヘムとともに幸福な生活をおくっていた。だが、あの自爆テロがすべてを変えた。19名の犠牲者。その中にシヘムがいたのだ。呆然とするアーミンに刑事は衝撃的な言葉を吐く。「テロの首謀者はあなたの妻だ」妻は妊婦をよそおって爆弾を腹に抱え、自爆したという。なぜ彼女がそんなことを…。アーミンは真相を探るため、妻のルーツを探り、やがて想像を絶する真実に辿りつく。イスラムの夫婦の見えざる亀裂を描き出す、哀しみに満ちた愛の世界。テロが横行する極限下、イスラム社会の至高の愛と究極の絶望を描いた傑作。
拓己と省吾の“有機融合”によって誕生するスーパーヒーロー・イズミは、行方不明の少女・響子を捜し求め、西へ向かう。“ジュリア”の創造した合成人間カスミの攻撃をかわしつつ、ついに“京都”へと入る。西の組織・白十字を率いる“千里眼の岐世子”とは、果たして何物なのか?そしてイズミの前に立ちはだかるは、最強の合成人間アスカ。その勝負や、如何に!?巻末に、著者・若木未生氏と、イラストレーター・岡崎武士氏の特別対談を収録。今だから言える(?)裏話が満載。ファン必携の書。
新署長赴任の朝、署の正面玄関前で衝撃的事件が起きた。刑事と、連行中の容疑者が雑居ビルから狙撃されたのだ。目の前で事件に遭遇したK・S・Pの沖幹次郎刑事は射殺犯を追う。銃撃戦の末、狙撃犯のひとりを仕留めるが、残るひとりは逃亡した。だが、それは新宿に血腥い嵐が吹き荒れる序章にすぎなかった…新宿を血で染めるチャイニーズマフィアと暴力団の抗争。野性刑事・沖幹次郎が真相を求めて疾駆する!長篇ハードアクション。
『こゝろ』は漱石作品の中でも最も研究され、語られつづけている。それはつまり、『こゝろ』論が近代文学研究の縮図であり、代表であるとも言えるだろう。その数多くの言説の中から、すぐれた論の最もすぐれたところ、問題となる箇所を引用し、主題・構造・語り・視点・人物像などの核心を浮き上がらせる。『こゝろ』像の変遷がわかる、『こゝろ』を研究しようとする人の必携の書。『こゝろ』文献目録を付す。
アメリカで家族とともに暮らしていたサッカー好きの青年サンティアゴは、ある日、スカウトに才能を見出され、イングランドの名門ニューカッスル・ユナイテッドの練習生となる。数々の試練を乗り越えながらも確実にゴールを決め、チームに勝利をもたらすサンティアゴ。やがてチームになくてはならないスター選手となった彼は、婚約者ロズとともに充実した日々を送っていた。そこへ突然、世界最強チームと名高いスペインのレアル・マドリードから移籍話が舞い込んだ!舞台を、イングランド・プレミアリーグから、ヨーロッパ・チャンピオンズ・リーグへと移し、サンティアゴの新たな挑戦が今始まる。