2007年6月25日発売
若き会社社長の麻生陶子は、誰もが憧れる存在。だが、その美貌とは裏腹に、「完璧な人生」を手に入れるためには、恋も仕事も計算し尽くす女だ。そんな陶子には、彼女を崇拝し奴隷の如く仕える妹の久恵がいた。しかし、ある日から、二人の関係が狂い始め、驚愕の真実が明らかになっていく…。『女神』の著者が「女の心理と狂気」で描く現代サスペンスの傑作。
タイタンの首都メカルーク。市警警部のネルバルと広域宇宙警察の実習生サティが現場で目撃したのは、八体の惨殺死体と「海賊を始末した」という犯行声明だった。いっぽう海賊課刑事のアプロとラテルは、「海賊に間違われた」という同僚刑事セレスタンの通信を受け、貨客船ハウバウアー号に急行する。それは、海賊課の存在意義を葬り去るべく〓(よう)冥が仕掛けた周到なゲームの始まりにすぎなかったー。待望のシリーズ第7作。
1820年、ロンドン。町はずれに捨てられていた赤ん坊を、名門ラヴオール家の当主が連れ帰った。彼はその男の子を最愛の亡妹の生まれ変わりと考えローズと名付け、館の司書との間に生まれた継嗣とした。ローズは両親の愛と無二の親友ハミルトン姉弟の友情に包まれ、何不自由なく育った。だが思春期を迎え、“幸運の娘”の完璧な世界は崩れ去る。男であることを自覚しての激しい苦悩、父の死。財産を狙う親戚に正統な嫡子ではないと非難され、ローズと母は館を追放された。だが、ローズは放浪の旅の果て、ある物語詩に自らの出自究明の希望を見出す。一方、ハミルトン親子は代々伝わる暗号で記されたラヴオール家の年代記の解読を、母は館の図書室に収集されていた謎の詩人メアリー・デイの作品に隠された秘密を探っていく。やがてすべてが解明され、驚くべき事実が明らかに…。気鋭のミュージシャンが、壮麗な領主館を舞台に詩情豊かに紡ぐ、ディケンズ風サーガ。
見目麗しく、知性も備えた娘ミシルは、外祖母からありとあらゆる媚態術と性の技芸を仕込まれていた。彼女の一族「大元神統」は、皇帝の一族に「色」を供することを至高の使命とし、皇太后や後宮を輩出してきた名門なのだ。ミシルは新羅の宮廷に上がるやいなや、純朴で繊細な皇帝の弟・世宗の寵愛を受ける。先には、宮廷での薔薇色の未来が待ち受けているかに見えた。だが、恋に狂った息子の姿を案じた皇太后はミシルを疎み、追放を画策するのだったー世界文学大賞を受賞し韓国で大ベストセラーを記録した官能歴史ロマン。
幼なじみの相棒エヴァンとともに深夜、無人のはずの質屋に忍び込んだダニーは、そこで質屋の主人と鉢合わせしてしまう。逆上したエヴァンが持っていた銃をぶっ放し、ダニーは一人、その場から逃げ去った。そして七年が過ぎた。犯罪世界からは完全に足を洗い、建設会社に勤め、恋人のカレンと同棲するダニーの前に、質屋の事件で刑務所に送られたエヴァンが現れる。事件直後に逮捕されながらも、ついに共犯者であるダニーの名前を出さなかったエヴァンは、それを恩に着せ、自らの犯罪に加担することをダニーに強要する。今の生活を守りたいダニーは拒むが、エヴァンはカレンを脅すことで圧力をかけてきた。ついに屈したダニーは、エヴァンの誘拐計画に力を貸すことになる。だが、誰も傷つけぬようにしようというダニーの思惑とは裏腹に、エヴァンは暴走を始める…自らの人生を賭けた、自らの過去との闘い。信じられぬ輝きを放つ、注目のデビュー作。
運河が縦横に流れ、輝ける硝子の塔が街を見下ろす美しい水の都カモール。この都の秩序は、表の政治を司るニコヴァンテ公爵と、裏社会を統べるカパ・バルサヴィが結んだ秘密の不可侵協定によって保たれている。だが、ちかごろ秘密協定にそむいて貴族を狙う詐欺師集団が暗躍しているという噂があった。その詐欺師集団の正体こそ、天才ロック・ラモーラ率いる悪党紳士団であった。生まれながらにして巧みに人を欺き、変幻自在に姿をいつわり、嘘を真実に見せかけてしまう才能に長けたロックは、力自慢のジャン、一卵性双生児のカーロとガルド、ちびの少年バグら仲間とともに、貴族を相手に大規模なコン・ゲームを仕掛けては莫大な財産を手に入れていた。そんなとき、カパ・バルサヴィに仕える盗賊団の頭たちが、灰色王と名乗る男に次々と殺される事件が起きる。姿を見せずに殺戮を繰り返す灰色王の目的はなんなのか…そしてついに、その魔手がロックの身にも迫る!著者の華麗なるデビュー作。
9・11以降、激化の一途をたどる“テロとの戦い”は、サラエボが手製の核爆弾によって消滅した日を境に転機を迎えた。先進資本主義諸国は個人情報認証による厳格な管理体制を構築、社会からテロを一掃するが、いっぽう後進諸国では内戦や民族虐殺が凄まじい勢いで増加していた。その背後でつねに囁かれる謎の米国人ジョン・ポールの存在。アメリカ情報軍・特殊検索群i分遣隊のクラヴィス・シェパード大尉は、チェコ、インド、アフリカの地に、その影を追うが…。はたしてジョン・ポールの目的とは?そして大量殺戮を引き起こす“虐殺の器官”とは?-小松左京賞最終候補の近未来軍事諜報SF。
諮問探偵業を引退後、ワトスンとともに、ニューヨークで静養中のホームズに、世界的な大事件が降りかかった!なんと高名な歴史学者であるニューヨーク大学の教授が「賢者の石」を発見し、ドイツ軍がその強奪を目論んでいるというのだ。そんな状況下で教授のひとり息子が姿を消す。ドイツ軍に誘拐されたに違いない、と教授は主張するのだが…。ラストシーンに胸が躍る!ホームズ・パスティーシュ史上に残る傑作「賢者の石」のほか三編と、「新訳シャーロック・ホームズ全集」(光文社文庫)の翻訳者・日暮雅通の「ホームズ・パロディ/パスティーシュの華麗なる世界」を収録。ファン必読の傑作集。
元大手外資系証券会社アナリストの七森恵子は、ある事件をきっかけにフリーの金融探偵に転身した。数々の潜入調査のなかで、次第にひとりの天才詐欺師の存在に気づく恵子。相棒の如月浩二郎とタッグを組み、次第に暴かれていくその詐欺の全容はー。