2007年8月3日発売
薬学の研究に没頭した挙げ句、夫と娘を失った栂原晃子は、新たなテーマを求めてインドネシアに向かうが、飛行機墜落事故に巻き込まれる。だが奇跡的に助かった晃子は、山奥の村で神秘的な歌声を持つ少女と出会い、驚異的に快復した。一方、町では猟奇的な殺人事件が発生していたー。伝説と神話に彩られたスペクタクル巨編。
1969年。安田講堂事件が起き、東大は入試中止。アポロが月に行き、ビートルズが「アビーロード」を、ローリング・ストーンズは「ホンキー・トンク・ウイメン」をリリースした。ベトナム反戦運動が高まり、基地の町・佐世保で、僕は高校をバリケード封鎖したー。明るく楽しく生きる青春のエネルギーに満ちた日々を描いた永遠の古典。
故郷を捨て、過去を消し、ひたすら悪事を働いてきた日系ブラジル人の高木耕一は、コロンビア人の出稼ぎ売春婦DDと出逢う。気分屋でアタマが悪く、金に汚い女。だが耕一はどうしようもなくDDに惹かれ、引き摺られていく。DDのために大金を獲ようと、耕一はかつて自分を捨てた仲間ー裏金強奪のプロである柿沢に接触する。
恋人との大喧嘩の果て、薬の過剰摂取で精神病院の閉鎖病棟に担ぎ込まれた明日香。そこで拒食・過食・虚言・自傷など、事情を抱えた患者やナースと出会う。普通と特別、正常と異常…境界線をさ迷う明日香がたどり着いた場所はどこか?悲しくて笑うしかない、絶望から再生への14日間を描いた、第134回芥川賞候補作。
高校生・向井広幸は、公園で戸浦という男と知り合う。やがて彼が指名手配犯であることを知った広幸は警察に通報するが、戸浦は察知して逃亡する。その事件から4カ月後、戸浦は広幸の恋人を彼の目前で殺害して行方をくらます。戸浦を追う広幸が執念の追跡の果てに見つけたものは…。人の心の絆の強さを問う長篇ミステリー。
両親の死を機に、東京を引き払い、信州でひとり暮らす姉のそばへ越してきた妹夫婦。両親の気配の残る小さな宿を引きついで、おだやかな日常が始まったように見えたが、そこでは優しさに搦めとられた、残酷な裏切りが進行していたー精緻な描写と乾いた文章が綴るいびつな幸福。うつくしく痛ましい愛の物語。
ところは中国、栄華を極めた大貴族の邸内に築かれた人工庭園「大観園」。類稀なる貴公子と美しき少女たちが遊ぶ理想郷で、奇々怪々な連続殺人が勃発します。衆人環視の中で消え失せる犯人。空を飛ぶ被害者…。中国最大の奇書『紅楼夢』を舞台にした絢爛たる犯罪絵巻は、中国古典ファンも必読の傑作ミステリー。
「これは奇跡に関する物語だ。」-洪水に苦しむ人々を救うため、愛する妻が“亡者”と交わした取引とは?鮮烈な余韻を残す表題作ほか、謎の圧死をとげた伯父の家での不思議な邂逅を描く「やもりのかば」、裏の空き地で少年が体験する不条理「夏の軍隊」など、美しく奇想天外な13の物語。
『連れてこい。俺の花嫁を、ここへ』少女の前に開かれた世界は、生まれたときから既に欲望と憎悪で塗り固められていた。「鬼の花嫁」の刻印を持つ少女「神無」は、16歳の誕生日に美しくも冷酷な鬼、「華鬼」のもとへ嫁ぐよう告げられる。なかば連れ去られるように向かったその先には、多くの鬼とその花嫁たちが生活する学園があった。鬼や花嫁たちの嫉妬が渦巻き、奸計がはりめぐらされるその学園で、神無は更なる地獄をみる。彼女に害をなそうとする鬼、命をかけて護る鬼、そして、彼女を疎ましく思う華鬼。さまざまな想いが交じりあう中、華鬼の残酷なまなざしの奥にひそむ苦しさを感じ取った神無は、知らず知らずのうちに彼に惹かれていくが…。