2008年12月発売
仙石藩と、隣接する島北藩は、かねてより不仲だった。島北藩江戸屋敷に潜り込み、顔を潰された藩主の汚名を雪ごうとする仙石藩士。小十郎はその助太刀を命じられる。青年武士の江戸の青春を描く時代小説。
世界各地で頻発する人体発火現象に過剰反応した英国王妃の心の安定をはかるため派遣された嵯峨敏也と岬美由紀。そこには人類の歴史を根底から覆す戦慄のプロジェクトの存在があった! クラシックシリーズ第7弾!
航空自衛隊の演習中に発生した重大な過失事故。戦闘機のパイロットは伊吹直哉だった。かつての恋人である伊吹を救うため、美由紀は基地に戻り彼の精神鑑定に乗り出すが…。圧倒的なリアリティで迫るシリーズ第8弾!
自衛隊への信頼が揺らぐ中、麻薬密輸船の領海侵犯事件にも悩まされる防衛省に、巨大企業の陰謀が迫っていた。日本の軍事的、政治的危機に、美由紀が命を賭けて挑む。かつてない筆致で読ませるシリーズ最高傑作!
小藩の江戸詰め藩士、倉田家に突然現れた女。若き当主・勇之助の腹違いの妹だというが、妻の幸江は疑念を抱く。「江戸褄の女」他、男女・夫婦のかたちを描く全6編。人気作家の原点、オリジナル時代短編集。
江戸・芝神明前の医院「北村堂」はいつも大繁盛。腕利きであるうえ義に厚い宗哲だが、訳あって人を斬り、長い逃亡生活を送っていた過去を持つ。そのためか、「その筋」から厄介な頼み事が持ち込まれることもある。ある日、昔の知り合い半五郎が労咳を病んだ身でふらりと江戸に現れた。宗哲は住む部屋を世話するが、家主に思わぬことで苦情を言われ…。人情とペーソス溢れる人気シリーズ第1作。
道三堀から深川へ、水を届ける「水売り」の龍太郎には、蕎麦屋の娘おあきという許嫁がいた。日本橋の大店が蕎麦屋を出すと聞き、二人は美味い水造りのため力を合わせるが。江戸の「志」を描く長編時代小説。
天才絵師の名をほしいままにした兄・光琳が没して以来、尾形乾山は陶工としての限界に悩んでいた。追い討ちをかけるように、二条家から与えられた窯を廃止するとの沙汰が下る。光琳の思いがけない過去が、浮かび上がろうとしていた…。在りし日の兄を思い、乾山が晩年の傑作に苦悩を昇華させるまでを描く歴史文学賞受賞の表題作をはじめ、戦国から江戸の絵師たちを綴った全5篇を収録。松本清張賞作家の原点、待望の文庫化。
平戸藩の御船手方書物天文係の雙星彦馬は、三度の飯より星が好きという藩きっての変わり者。そんな彦馬のもとに上司の紹介で美しい嫁・織江がやってきた。彦馬は生涯大切にすることを心に誓うが、わずかひと月で新妻は失踪してしまう。じつは織江は、平戸藩の密貿易を怪しんだ幕府が送り込んだくノ一だった。そうとは知らず妻を捜しに江戸へ赴く彦馬だったが…。人気著者が放つ「妻は、くノ一」シリーズ第1弾。
弁護士のジェフリイ・メイスンは、法律事務所に勤務しつつ、休日はレースに出場するアマチュア騎手。ある日、トップ・ジョッキーのバーロウが干草用のピッチフォークで串刺しにされるというショッキングな殺人事件が起き、ライバル騎手のミッチェルが逮捕された。あくまでも濡れ衣を主張するミッチェルだったが、被害者と犬猿の仲であったことは周知の事実で、凶器が本人のものであったこと、被害者の携帯電話に彼の名前で脅迫メールが送られていたことなど不利な状況証拠も揃っていた。騎手仲間であるメイスンは弁護を依頼されるが、その直後から「弁護を引き受けてわざと負けろ」という奇妙な脅迫の電話やメールが届き始める。恐怖と職業倫理の間で揺れ動くメイスン。時同じくして、彼は事務所の前で待ち伏せしていた男にバットで手ひどく殴りつけられる。暴漢はかつての依頼人トレントという男で、有罪になったことを逆恨みしての凶行だった。トレントの報復とバーロウの殺人事件には何らかの関連が?真実を白日の下に晒すため、そして自身の誇りを取り戻すため、満身創痍のメイスンは法廷に立つ。競馬シリーズの興奮にリーガル・サスペンスの醍醐味を盛り込んだ巨匠フランシスの意欲作。
2008年カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞映画原作小説。パリ市内の中学校で教師をしている私は、日々ストレスを募らせていた。私語や反抗が目立つ生徒、妨害される授業、学力格差、校内暴力、人種間の対立など、次々と難題が持ち上がるが、解決の糸口はまったく見えてこないー教育現場の現実をセンセーショナルに描き、フランスでベストセラーを記録したドキュメンタリー・ノヴェル。ラジオ局フランス・キュルチュールと雑誌「テレラマ」共催の文学賞を受賞。
90年代のカルト・バンドのもとヴォーカル、ホリスがまきこまれた驚くべき陰謀とは?『ニューロマンサー』に始まる電脳空間三部作でSF界に新たな潮流をもたらしたウィリアム・ギブスンが、ポップ・カルチャー、コンピュータ、政治、さまざまなガジェットを巧みにもりこんだ長篇。
「一緒に死のう、この世界に抵抗するために」-御冷ミァハは言い、みっつの白い錠剤を差し出した。21世紀後半、「大災禍」と呼ばれる世界的な混乱を経て、人類は医療経済を核にした福祉厚生社会を実現していた。誰もが互いのことを気遣い、親密に“しなければならない”ユートピア。体内を常時監視する医療分子により病気はほぼ消滅し、人々は健康を第一とする価値観による社会を形成したのだ。そんな優しさと倫理が真綿で首を絞めるような世界に抵抗するため、3人の少女は餓死することを選択したー。それから13年後、医療社会に襲いかかった未曾有の危機に、かつて自殺を試みて死ねなかった少女、現在は世界保健機構の生命監察機関に所属する霧慧トァンは、あのときの自殺の試みで唯ひとり死んだはずの友人の影を見る。これは“人類”の最終局面に立ち会ったふたりの女性の物語ー。『虐殺器官』の著者が描く、ユートピアの臨界点。
コンビニで働く大学生の宗助には、気になる女性客がいた。クリスマス・イブにも一人で店を訪れ、ショートケーキを買う彼女は見映えのしない四十代だが、なぜか気になってしかたがない。ある日、街中でその女性を見かけ、自分でも大胆だと思えるほどの行動に出る。思いがけず、親子ほども歳の離れた若い男から情熱を寄せられた美南子は、結婚に破れたという自身の傷から立ち直れず、恋愛に臆病になっていた。だが、物怖じしない宗助の一直線な恋愛を前に、だんだんと自分の中に眠っていた火が燻りはじめる…。
昼間はお堅い薬剤師…だけど木曜の夜だけ、ユキナリという名のわがまま猫になって好みの男を漁る。期間限定の気ままな暮らしーそんな由紀也が一夜の相手に選んだジュエリーデザイナーの岸田は、カッコよくて構い上手でベッドも最高!俺だけに飼われろよ…と言われ、初めて本気の恋にはまってしまった。でも…。岸田は昼間の顔を見られても、自分は双子の弟だと言い張る由紀也で…。
最先端技術の商品を扱う陽光工業。営業部の三浦は突然、本社の新部署、総合戦略企画室の室長付き秘書に抜擢された。会長自らが連れてきたという若き室長、桐生は米国帰りのクールな美人。先鋭たちが集められた新部署で早速辣腕ぶりを発揮する。だがそんな桐生には、会長の愛人という噂が…。怜悧な頭脳の持ち主が時折見せる頼りなげな瞳にメロメロとなった三浦は…。昼は忠犬、夜はセクハラ!桃色オフィスラブ。
上等だよ!ヤクザだろうがお巡りだろうが関係ねえよ!抗争、乱闘、死闘…。元「ぼったくりの帝王」が過去に別れを告げ、歌舞伎町の夜明けに誓ったあらたなる決意とは?驚愕の半生を綴る衝撃のノンフィクション。
河童の画家、生誕140年・没後70年。牛久沼のほとりに暮らし、水魅山妖に惹かれ、独自な日本画を描き、河童の絵を描き続けた自然人がいた。「平民新聞」の幸徳秋水らと交わり、横山大観に認められ、田舎の幻想世界を追求した農画家の魅力が今よみがえる。その生涯を描く、初めての評伝小説。