小説むすび | 2008年3月31日発売

もの心ついたときに、父はいなかった。それは寂しいことではなかった-。美名子と母のあいだにある、ふれられない空白。そこには、いつも「不在の父」がいた。現代を生きるひとりの女性の姿を、思春期から４０代までの心の軌跡をとおし語る六篇の物語。とまどいながら、その先に見つかる心の本当のかたちを、美しい文章と丁寧な心理描写で描き出した「絆の物語」。

弱者を虐げる者には義の鉄槌を！扱かれ、虐め殺された若い石工見習い。幼き魂の悲しき叫びを聞いた宗徳たちが立ちあがる。闇の仕事師・四人と一匹が今日も行く。

かくも理不尽、かくも無情、運命の渦に呑み込まれた人々、心を揺さぶる、江戸の生き死に、珠玉の時代小説。