2010年11月1日発売
美しいアナベル・リイ美しいアナベル・リイ
かつてチャイルド・ポルノ疑惑を招いて消えた映画企画があった。それから30年、小説家の私は、その仲間と美しき国際派女優に再会。そして、ポオの詩篇に息づく永遠の少女アナベル・リイへの憧れを、再度の映画制作に託そうと決意するのだが。破天荒な目論見へ突き進む「おかしな老人」たちを描く、不敵なる大江版「ロリータ」。
ゴッドスターゴッドスター
ここは東京湾岸の埋め立て地。あたしと息子のカリヲと地霊メージの住む場所。社会から隔絶された埋め立て地では時空も歪んで、人間と地霊の不思議な邂逅さえ実現するのだ。けれどここに犯罪者のリアルな暴力が侵入してきた。戦いが始まるーナイフの如くシャープな文章が、現実と幻想を華麗に融合させる。多彩なイメージと圧倒的スピード感に溢れた古川日出男ワールドがここに。
弔い師弔い師
ひとりは職人髷。ひとりは役人髷。ひとりは芸人髷。碧い眼をした弔い師・彫辰、正義感あふれる新米同心・仏光寺左門、お人よしの噺家・山遊亭楽丸。猪牙船に揺られる大川で三人が釣り上げたのは、木場で働く川並の骸だった。楽丸の知り合いだという男。その指は紫色に変色していた。彫辰は思わず南蛮渡来の毒薬の名を呟いた…。何の因果か、はぐれ三人組が、世直しのおせっかいを焼く、痛快時代活劇シリーズ第1弾。
ふたり鼠ふたり鼠
元三島町の親分、御用聞上がりの弥八老人が、若い文士こと「私」を相手に語る昔語り。銭ならぬ硬く炒った豆のつぶてを放ち、屋根から屋根へ跳び移る大鼠を撃ち落とした初手柄が評判となり、ついた通り名は、“鉄砲の弥八”。二十年以上にわたる御用聞稼業での武勇伝は数知れない。三河町の名親分を向こうに張った功名談を、随所に江戸っ子のしゃれッ気を混ぜて描く。四話仕立てのお噺しは面白可笑しく、江戸情緒も満載。
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