2010年5月15日発売
死んだ女のことを教えてくれないかー。無礼な男が突然現われ、私に尋ねる。私は一体、彼女の何を知っていたというのだろう。問いかけられた言葉に、暴かれる嘘、晒け出される業、浮かび上がる剥き出しの真実…。人は何のために生きるのか。この世に不思議なことなど何もない。ただ一つあるとすれば、それはー。
ビジネス界の一匹狼たちが情報を武器に、ある者は不審な死を遂げた友の復讐を果たし、ある者は巨大企業の策謀を暴く。リーマン・ショック後、日本経済の隠された実情を描く筆致は衝撃的でわかりやすい。本作は著者のデビュー作『デフォルト 債務不履行』の続篇であると同時に、ビジネス界を舞台にした、これまでにない武侠小説の短篇集である。
書評家の林雅賀が店長の蒼林堂古書店は、ミステリファンのパラダイス。バツイチの大村龍雄、高校生の柴田五葉、小学校教師の茅原しのぶーいつもの面々が日曜になるとこの店にやってきて、ささやかな謎解きを楽しんでいく。かたわらには珈琲と猫、至福の十四か月が過ぎたとき…。乾くるみがかつてなく優しい筆致で描くピュアハート・ミステリ。
「芋侍のにいちゃん、可愛いねえちゃん半刻ほど貸せよ」武州槻山藩主から休みをもらって江戸に出た小坂亀治郎は、道を尋ねてごろつきに囲まれた。怪しい侍から助けてやったお鶴ちゃんが、なぜか旅の道連れになってしまい、吉原遊びを断念したばかりだった。武州訛りで風采の上がらぬ亀治郎とお鶴ちゃんの、心がほっこり爆笑珍道中の始まり始まり。
新宿、仙台、福岡など日本各地で、見知らぬ通行人の女性をバットで殴って、死傷させるという事件が連続発生。犯人は、殺害後、逃走せずに、現場で茫然としているという共通点があった。いずれも犯人はその場で逮捕。犯人同士に、接点はまったくない。新宿署の刑事・城島は元FBI心理捜査官エミコ・クルーニルと共に、恐るべき事件の真相に迫る。
ある朝、文之介の屋敷の前に置かれていたのは、篭に一杯詰まったかぼちゃだったー誰がなぜ?興味津々のお春が調べ始めたその頃、文之介は勇七とともに、首を吊ったと見える男の探索に入っていた。枝が折れて落ちたためか、生垣を境にして下半身が神社に残り、上半身が町地に飛び出しているという、不思議な死に方だった。他方、丈右衛門は蕎麦屋の息子から、ある依頼を受けて…。