2010年5月20日発売
海流発電を活用した新都市計画で、東京湾の海底に千葉県海中市は作られた。それから20年が経過。海の中で生まれ育った夏波たちも、普通の高校生と同じような青春を送っていた。だが、次第に感じる陸上との距離は、心にまで及んでくる。そんなとき、海中都市が数年で消滅するという事実を知って…。
ギタリストの熊井望は、自分をもてあましながら28年間生きてきた。音楽以外に興味はなく、唯一思いを寄せるのは、昔の友人。自分の分身のようにかけがえのない存在だったが、今はもう会えない。彼女が取り返しのつかないことをしてしまったからー。様々に繋がる人間関係から見えてくる、ささやかな希望。ローリング・ストーンズに乗せておくる、不器用な若者たちのもどかしくも胸に迫る物語。
宮崎一晃は、難病に冒された車椅子の画家だ。ゆっくりと全身が麻痺していき、十年後には寝たきりになる運命…。しかし、彼にはプロの殺し屋という裏の顔があった。美貌のヘルパー兼愛人・垣本篤子の世話を受けながら、困難な依頼を確実にこなしてゆく。車椅子は時に武器の隠し場所となり、時に隠れ蓑にもなるのだ。ユーモラスでシニカルな連作ハードボイルド。
桂真紀は中学校に通う女の子。みんなが憧れている先輩の男子から誘われて一緒に帰っても、気後れが先に立つ。学校行事で行った夏のキャンプでも、誰がカップルになるかで盛り上がる友だちの話に素直に入っていけない。そんな彼女を驚かせた友人の思い切った行動とはー。十四歳の少女が二十三歳の大人の入り口に立つまでの十年間を丁寧に描いた連作小説。
忘れ得ぬ女のために江戸を訪れた京の剣客・松平政宗は、柳生宗重邸で謎の黒忍び群に奇襲される。将軍家剣術師範代の屋敷を蹂躙した豪胆な一党は、市中を不安に陥れている旗本・大名屋敷連続襲撃事件の犯人集団か?比類なき剣の腕を持つ政宗さえをも脅かす彼らの正体は?その凶刃はやがて御三家水戸光国、そして江戸城にまで迫る!凄絶華麗な時代小説登場。
松平政宗は謎の忍び一族から受けた傷で死線を彷徨った。危機を脱した政宗を執拗に狙う知・業ともにすぐれた凄腕集団。事件の背後に見え隠れする次期将軍の座をめぐる暗闘。幕閣内で怪しく蠢く勢力から、四代将軍・徳川家綱を護ろうと、政宗は江戸を発った。一刻の猶予も許されないと向かう先は?その政宗を重武装の一群が追う!壮大雄渾の死闘ここに。