2010年7月24日発売
400年来の宿敵として対立してきた甲賀・伊賀の忍法二族。彼らは服部半蔵の約定によって、きわどい均衡を保っていた。だが慶長19年、家康によってついにその手綱が解かれる。三代将軍の選定をめぐる徳川家の紛争を、両里から選ばれた精鋭各10名に代理させようというのだ。秘術の限りを尽くし、凄絶な血華を咲かせる忍者たち。だが、そこには流派を超え、恋し合う2人の名も含まれていた…。山風忍法帖の記念すべき第一作。
晩春の夜更け、聖ミカエル病院に瀕死の女性が担ぎこまれた。女はかつて病院で看護師を務めていた森弓子で、昇汞を呑んでしまったという。千明医学士は手当てを始めるが、弓子の肢体に数条のみみず張れを発見する。直後、弓子の夫が同じく昇汞を呑んで自殺。夫婦に何が起こったのか?刻一刻と弓子の様態が悪化する中、驚愕の真相が明らかになる…(『虚像淫楽』)。探偵作家クラブ賞受賞の表題作を含む初期ミステリー傑作選。
逮捕劇のさなかに死亡したアルカイダ幹部の残したPCから、大規模テロ計画の文書が発見される。米英諜報部は内情を探るため、元SAS将校を収容中のタリバン戦士の替え玉としてアルカイダに潜入させる……。
アメリカで逮捕中のタリバン戦士になりすまし、無事アルカイダに潜入を果たしたマイク。だが、テロの標的は船だとメッセージを残した彼の行方を諜報部は見失ってしまう。そして、その日は刻一刻と近づいていた……。
1942年、ナチス・ドイツ占領下のポーランドで猟奇殺人が発生。唯一の目撃証言はドイツ軍人、それも将軍クラスの人物による犯行を暗示していた。ドイツ軍防諜部のグラウ少佐は、容疑者を3人の将軍にまで絞り込み捜査を進める。しかし軍という巨大組織の隠微な刃が、グラウ自身にも迫ろうとしていたー。大戦の狂気と正義を求める心の闘争を描いた群像サスペンスの名作、半世紀の時を経て、瑞々しい新訳で登場。
不倫する奴なんてバカだと思っていた。でもどうしようもない時もあるーー。建設会社に勤める渡部は、派遣社員の秋葉と不倫の恋に墜ちる。しかし、秋葉は誰にも明かせない事情を抱えていた……。
30歳の誕生日を挟んで、ふたつの大災難に見舞われた鳩子。婚約者に逃げられ、勤め先が破綻。変わりものの妹を介して年下の男と知り合った頃から、探偵にもつきまとわれる。果たして依頼人は? 目的は?
宇宙と地球の狭間に建設された首相官邸「ラプラス」。西暦を捨て、宇宙世紀に足を踏み入れた人類を祝福する場となるはずだったそこは、反動分子の爆破テロによって無残に破壊された。それから百年、「ラプラス」の残骸に秘められた「禁忌の力」をめぐり、赤い彗星シャアの再来が、伝説のマシーン「ガンダム」が翔ぶ。人は、宇宙にまで持ち越された己が原罪を贖うことができるのかー。文壇の気鋭が放つSF巨編、緊迫の第5弾。
村が水害にあい、練習もままならない蜷谷高校・通称ニナ高の野球部。剛速球投手コーキも、日々その素質をくすぶらせていた。そんなニナ高に目を付けた名門野球部K高。格下相手を練習台にしようというのだ。自分の球に絶大な自信を持つコーキは、合同練習初日に勝負を挑むが結果は特大ホームラン。プライドをボロボロにされたコーキはリベンジに向けて、猛練習を開始した。ダメダメ野球部のむやみに熱い青春ストーリー。
浅草の蛇骨長屋に住む浪人・曾路里新兵衛は、酒がなくては生きてはゆけぬ、というほど無類の酒好き。仲間の不祥事により改易になって以来、何ものにも縛られない気ままな暮らしを楽しんでいた。だがある日、ついに生計が立たなくなり、やむなく岡っ引きの伝七に依頼された辻斬り事件の探索を引き受ける。実はこの新兵衛、酔うと剣技が冴え渡る「酔眼の剣」の使い手だった!人気著者が放つ、書き下ろし新シリーズ第1弾。
「わたしはこんな三角関係をぜったいに認めない」-穂村チカ、廃部寸前の弱小吹奏楽部のフルート奏者。上条ハルタ、チカの幼なじみのホルン奏者。音楽教師・草壁先生の指導のもと、吹奏楽の“甲子園”普門館を夢見る2人に、難題がふりかかる。化学部から盗まれた劇薬の行方、六面全部が白いルービックキューブの謎、演劇部との即興劇対決…。2人の推理が冴える、青春ミステリの決定版、“ハルチカ”シリーズ第1弾。
省エネをモットーとする折木奉太郎は“古典部”部員・千反田えるの頼みで、地元の祭事「生き雛まつり」へ参加する。十二単をまとった「生き雛」が町を練り歩くという祭りだが、連絡の手違いで開催が危ぶまれる事態に。千反田の機転で祭事は無事に執り行われたが、その「手違い」が気になる彼女は奉太郎とともに真相を推理するー。あざやかな謎と春に揺れる心がまぶしい表題作ほか“古典部”を過ぎゆく1年を描いた全7編。
“君は、わたしを捜せないかね…?”あの日の囁きが予告であったかのように、突然学園から消えたヴィクトリカ。遠くリトアニアの修道院“ベルゼブブの頭蓋”に幽閉され、ゆっくりと弱ってゆく彼女を救うため、一弥はひとり旅立った。豪華列車で出会った奇妙な客たち、遠い戦争の記憶。謎の夜会“ファンタスマゴリア”の血塗られたショー。かつてこの地で何が起こったのか。そして、一弥とヴィクトリカの運命はー。