2010年8月6日発売
「ナイフの使い手だった私の祖父は十八歳になるまえにドイツ人をふたり殺している」作家のデイヴィッドは、祖父のレフが戦時下に体験した冒険を取材していた。ときは一九四二年、十七歳の祖父はドイツ包囲下のレニングラードに暮らしていた。軍の大佐の娘の結婚式のために卵の調達を命令された彼は、饒舌な青年兵コーリャを相棒に探索に従事することに。だが、この飢餓の最中、一体どこに卵なんて?-戦争の愚かさと、逆境に抗ってたくましく生きる若者たちの友情と冒険を描く、歴史エンタテインメントの傑作。
ヨルショル霧状星雲のヨル・ベータ星系を調査するべく派遣された旧ミュータントのベティ・タウフリーは、とんでもない窮地に陥っていた。人類にたいして叛乱を企てているマルティ・サイボーグ、ムサイの発明したモジュール放射プロジェクターのせいで、ベティは意識の搬送体であるムサイの肉体を自由に使えなくなったのだ。ヨル・ベータ星系のムサイの状況に不審をいだいたアトランは、艦隊180隻の派遣を決意するが…。
人類とAIが融合した“共同体”の突然の崩壊により荒廃した世界を立てなおしたのは、統制府が創造した二人〜五人の集団ー小群だった。彼らは匂いで会話し、手首のパッドに触れ合うことで記憶や感情を共有し、まるで一人のように行動する。アポロ・パパドプロスもそうした小群の一組だった。二人の少年と三人の少女からなるアポロは、外宇宙探査船の船長をめざし、過酷な訓練を続けていたが…ローカス賞に輝く衝撃作。
ロングピース社が開発した著述支援用人工知能CAWシステムが出力する、悪名高き宇宙海賊・〓(とう)冥の物語ー火星の赤い砂漠の町サベイジのバー“軍神”で、〓(とう)冥はフィラール星の女官長シャルファフィンと名乗る女の訪問を受け、火星で行方不明になったという王女の捜索を依頼されるが…王女捜索に乗り出す〓(とう)冥、それを追う宇宙海賊課のお荷物刑事ラテルとアプロがくりひろげる、記念すべきシリーズ第1長篇の新装版登場。
料金は一日百二十五ドルと必要経費。報告書は作成しますが、調査方法の指図はお受けしませんー夜遅くに事務所を訪れた男は、息子の恋人の行方を捜してくれと依頼する。簡単な仕事に思えたが、訪ねたアパートで出くわしたのはその息子の射殺死体だった。依頼人が被害者の父親ではないことも判明し、さらには暗黒街のボスが脅迫を…圧力にも暴力にも屈しない私立探偵V・I・ウォーショースキーの熱い戦いが始まった。
都会での仕事を辞め、田舎町で園芸家として開業したばかりのポーラ。大手造園会社に負けまいと地道な営業にいそしんでいたところ、とっておきのチャンスが訪れる。地元の名家の庭園修復作業を任されることになったのだ。意気込んで現場の下見に出かけたポーラだが、なんと、地中に埋まっていた赤ん坊のミイラを発見してしまう。いったい誰がこんなことを?赤ん坊の親はどこに?調べはじめたポーラだが、身近で次々に不可解な出来事がおきはじめて…。アガサ賞、アンソニー賞にノミネートされた陽気なガーデニング・ミステリ。
FBI捜査官のケイトは、連続狙撃事件の捜査で、元海軍特殊部隊SEAL隊員のクインと再会する。初めて会った時から惹かれあい、数年前には一夜をともに過ごしさえしたものの、ケイトはその気持ちを抑えこみ、クインを避け続けていたのだ。だが、今回は逃げるわけにはいかなかった。祭りでにぎわう街が無差別狙撃の恐怖におびえるなか、クインの元狙撃手としての知識を借りて捜査を進め、二人の距離が近づいていく…。『熱く危険な再会』につづく、ホットでスリリングなロマンティック・サスペンス。
公園の木から吊り下げられていたのは、テレビの人気スターの射殺死体だった。たちまちマスコミが殺到し、知事までが捜査に介入してくる。やがて第二の死体が発見され、捜査は難航のきざしを見せ始めた。いっぽうジェッシイのもとには、前妻のジェンがストーカーに狙われていると泣きついてくる。捜査で身動きの取れないジェッシイは、恋人の私立探偵サニー・ランドルにこの件を託すが…二大キャラクターが競演の注目作。
母と娘のあいだには、甘くも美しくもない秘密があるー気鋭の作家が冴えた筆致で綴る、毒と悪意と、それでも消えぬ愛に彩られた女たちの物語。華麗にして不様、繊細にして無神経、痛々しくも軽やかな19色の母娘模様をご覧あれ。
夜会での奇妙な事件から六ヶ月後、ムィシキンはペテルブルグに帰還した。ナスターシャ、ロゴージンとの愛憎入り交じった関係はさらに複雑怪奇なものとなり、さまざまな階層の人々を巻きこんでいく。自らの癲癇による至高体験や、現実の殺人事件にも想を得た、ドストエフスキー流恋愛小説を、画期的な新訳で。