2013年10月11日発売
天真爛漫な居酒屋の娘・晴は就職活動に軒並み失敗。ひょんなことから受けたパイロット試験で資質を見ぬかれ合格する。ドジなところもあるが、天性の明るさと“立ち直りの速さ”で仲間を増やし、厳しい訓練を乗り越え成長していく。そして教官の国木田への恋はーー。航空ドラマ史上初の女性パイロットドラマ。
虚無とアイロニーをまとい、人生の不条理を見つめ続けた異色の戦後派作家、梅崎春生。『桜島』『日の果て』で戦時の極限下における心象を、『蜆』『ボロ屋の春秋』で市井にひそむ人間の本質を描いた著者が、過去の戦争と現在の日常とを緻密な構成でゆるぎなく繋ぎあげた、晩年の集大成。芸術選奨受賞作。
大勢に惜しまれながら、国民的画家・丹生雄武郎が亡くなった。享年九十七。彼は一方で寂れた民宿のあるじでもあったが、その生涯は未だ多くの謎に包まれているー。期待した筋書きを幾度も裏切られる破天荒な構成、そして昭和史の裏面を抉りながら最終的に物語が辿りつくのは…!?小説界が驚倒した空前絶後、衝撃の大傑作。
資産家の独居老人が火事で焼死した。何故か死の直前、株式を売却していた事実が判明。それに事件の匂いを嗅ぎ取った鳴海署刑事佐脇は捜査を開始する。その前に浮上する岡山・兵庫での独身男の不審死に、奇妙な火災事件。すべての陰には謎の美女の姿が。そんな折、鳴海に戻ってきた女がいた。佐脇の元婚約者・結城晶子。彼が悪漢刑事になるきっかけとなった女だった…。
渡り用人・唐木市兵衛は、知己の蘭医・柳井宗秀の紹介で人捜しを頼まれた。依頼主は江戸東郊の名主で、失踪した代官所の手代・清吉の行方を追うことに。一方、北町同心の渋井鬼三次は、本来、勘定奉行が掛の密造酒の調べを極秘に命じられる。江戸で大人気の酒・梅白鷺が怪しいというのだ。やがて二つの探索が絡み合った時、代官地を揺るがす悪の構図が浮上する…。
武家の泣き寝入りをみこして、旗本や御家人の妻女を誘拐陵辱する事件が頻発した。定町廻り同心並木真之介は単身内偵を始める。幼馴染みの小坂志穂が襲われたのだ。だが、世間体の壁は厚く、真相は薮の中だった。そんな折り、花岡紗季が探索に協力すると訪ねてきた。なぜ旗本の姫が?やがて紗季の深い懊悩を知った時、真之介の怒りは天を衝いた!妖艶の時代官能小説。
ガキの頃から金に目敏いろくでなし。そのくせどこか抜けていて、懐はいつもぴいぴいの本所界隈一のバカ侍ー幕末の雄、勝海舟の父小吉は積年の悪行のせいで実家の座縛牢へ幽閉された。ところが無頼の顔役は、反省どころか悪友の早川又四郎に市中を騒がす怪事件の数々を集めさせた!江戸の座敷牢探偵が私欲のために謎を解く、痛快時代小説の傑作!
九代将軍徳川家重。彼は言葉が不明瞭なため、実権は父吉宗が握っていた。しかし、家重は苦しむ民を無視する父に反発し、自らの手で政をと願っていた。引退した御庭番・里見影周こと伝兵衛は、その思いを知る数少ない家臣であった。彼は家重の病を治す秘薬の存在を知り、旅に出ることに。吉宗、そして権力の座を狙う者の妨害を潜り抜け、無事に薬を届けられるのか!?
運命の分かれ道は、畳の厚さを五・五センチに全国統一したことにあった…。日本の文化が大きく転換していく時代を背景に、畳刺しに命を懸けた三代にわたる畳職人の変遷を描く作品。