2013年12月発売
筌堂塔太郎は長崎奉行の松平甚三郎から切支丹の疑いをかけられる。来航した阿蘭陀船に乗っていたミランダという女が「服部半蔵に会いたい」と懇願しているらしい。塔太郎こそが5代目服部半蔵なのだ。疑惑を晴らすべく塔太郎が船に忍び込むと、そこにいたのは生気を失った金髪の美女だった…(「服部家秘録 阿蘭陀くノ一渡海」)。美しくも儚き忍びの女と、それに翻弄される男たちを描いた、色欲あふれる4つの歴史伝奇小説!
ちょいとドジを踏んでしまった“鼠小僧”こと次郎吉。忍び込んだ大名屋敷で、狙った大金はなく、いつもならそこで諦めるところ、ちょいと好奇心が頭をもたげた。開いている土蔵の扉に近づいた途端、侍と鉢合わせてしまったのだ。たちまち捕手が集まってきて、細い路地へ追い詰められる。一軒の長屋へ身を隠そうと戸を開けると、そこには血に染って死んでいる母と娘の姿がー。痛快エンタテインメント時代小説、第6弾!
本所の蕎麦屋に正月四日、毎年のように来る客。彼の腕にはある彫ものがー。(池波正太郎「正月四日の客」)新川の酒問屋で神棚から出火。火元の注連縄にはこよりに包んだ髪が隠されていた。そこに秘められた母子の悲しい思い出とはー。(宮部みゆき「鬼子母火」)他、松本清張「甲府在番」、南原幹雄「留場の五郎次」、宇江佐真理「出奔」、山本一力「永代橋帰帆」と人気作家がそろい踏み!冬を舞台にした、時代小説アンソロジー。
仙堂、間山たちの調査が功を奏し、ようやく霧の正体が明らかになりはじめる。なんと長年東京を覆い続けるこの霧は、ある目的のための準備段階に過ぎなかったのだ!計画の中心人物であるゼロは、最終段階へ向けて都内地下に隠された巨大兵器を動かそうとしていた。そしてそれは、4年前の大惨事を再現することだったのだー仙堂と切り札であるミアは未来への道を拓けるのか!?話題騒然のオーディオシマネ小説化、完結!
料理人で殺し屋の佐和は、幼いころから“もう一人の自分”であるバイロケーションと和解していた。だがある日、完全に情報共有していたはずのバイロケーションが、勝手に暗殺の依頼を受け、何も言わずに姿を消した。ターゲットは一体誰なのか?なぜ姿を消したのか?怒りを覚えた佐和は、自らの追跡を始める。それが、新たな恐怖を生み出すとも知らずにー。二重存在“バイロケーション”をめぐる、新感覚ホラーミステリ!
小学生の夏子はある日「六〇六号室まで届けてください。お礼します。魔女」と書かれたへんてこなステッキを拾う。半信半疑で友達5人と部屋を訪ねるが、調子外れな魔女の暴走と勘違いで、あっさり2人が銃殺&毒殺されてしまい、夏子達はパニック状態に。反省したらしい魔女は、お詫びに「魔法で生き返してあげる」と提案するがー。日常が歪み、世界が反転する。夏子と魔女が繰り広げる、吐くほどキュートな暗黒系童話。
庭に咲く艶々とした椿の花とは対照に、暗い座敷に座る小山内君は痩せ細り、土気色の顔をしている。僕は小山内君に頼まれて留守居をすることになった。襖を隔てた隣室に横たわっている、妹の佐弥子さんの死体とともに。しかしいま、僕の目の前に立つ佐弥子さんは、儚いほどに白く、昔と同じ声で語りかけてくる。彼女は本当に死んでいるのだろうか。「庭のある家」をはじめ、計8篇を収録。生と死のあわいをゆく、ほの瞑い旅路。
怖いものとは何だろう。本当に怖いものを知るため、とある屋敷を訪れた男は、通された座敷で思案する。完全な暗闇の世界、思いもよらない異形のモノ、殺意を持った猛獣や殺人鬼、己が死ぬこと、幽霊ー。不安でも嫌悪でも驚きでも不思議でもなく、純粋な怖いものを。恐怖に似たものではない、真実の“こわいもの”を知るという屋敷の老人が、男にさし示したものとは。「こわいもの」を含む、妖しく美しい、幽き8つの物語を収録。
真夏の海辺でアルバイト中に流され、毎度おなじみ異世界へ辿りついた渋谷有利の職業は魔王。しかし今回は様子が変だ。ユーリが統治する眞魔国に、何やら陰謀の匂いが…。落ち着く間もなく敵に襲われ、信頼する臣下とも離ればなれになったユーリは、人間の土地・小シマロン領カロリア自治区に漂着する。が、そこには何かの手違いでバイト仲間の村田が流れついていて!?マシリーズ初の大長編“カロリア編”、驚愕にして怒涛の急展開!
広島藩士の京嵐寺平太郎は、故郷の“たたり岩”の封印から解き放たれた魔王・真之悪太郎の行方を追っていた。ある日、長屋で大天狗と将棋をさしていると、上役の佐伯が飛び込んできた。将軍家重へ、宝刀を献上に上がった腰物奉行の家来が、宝刀を抜いて暴れ、斬られても死なぬというのだ。三つ目入道ら妖怪仲間と城へ急ぐが、この事件により、怪刀に秘められた悲しい過去と悪太郎の意外な正体を知るー。人気シリーズ第4弾!
江戸の町の不思議事件を解決する“謎解き屋”を始めた静湖姫に、奇妙な依頼が舞い込む。海産物問屋のあるじが、大鷲にさらわれたというのだ。市中を調べるうち、人が空から落ちてくる事件も発生しー。一方、“渡り鳥貿易”で異国との交流を図る元平戸藩主・松浦静山の屋敷には、足に手紙をくくりつけたカッコウが。そこには、謎の異国文字が記されていた。三十路を過ぎ、モテ期中の姫の周りはいつも大騒動!大人気シリーズ第5弾!
「安堂麻陽を護る。それは、俺の意思だ!」支援機を失い、クライアントを失い、孤立無援になっても、自らの意思で戦い続ける決心をしたロイド。しかし、ついに致命的なダメージを受け、麻陽の目の前で動かなくなってしまう。一方、レイジの妹・七瀬は、謎の美少女に追い詰められ、精神に変調を来していく。麻陽、ロイド、レイジ、それぞれの愛が向かう未来とはー。時空を超えたラブストーリー、感動の結末!
『ここは推理研究会ですよね?』『いかにも、ここは酔理研究会だ』-それが神酒島先輩と、私の世界を変えるサークルとの出会いだった。憧れの“スイ研”で待っていたのは、果てなき酒宴と“酔い”の理。そして不思議な瞳を持つ幹事長・神酒島先輩でー。共感度抜群!!名無しの大学生たちの青春歳時記!
永久不滅のキズナー感動のFINAL!!!ラブと感動2000%のスーパーハイテンションラブコメ。
解雇。それは張り紙一枚の出来事だった。ある日突然、僕らは年収200万円の生活からも見捨てられた。どうしよう。どこに行って、何をする?-歩く。それが、僕らの決断だ。クビを切られたカメラ会社がある山形から、東京へ。600キロ。4人で始まった行進は、ネットを通じて拡散し、メディアを賑わし、遂には政府が動き出す。僕らの青春を等身大に描いた、傑作ロードノベル。
極端に臆病な幼い有里の初恋の相手は、文房具屋で買った銀のステッキだった。アニメの魔法使いみたいに杖をひと振り、押入れの暗闇に銀の星がきらめき、無数の目玉が少女を秘密の快楽へ誘う。クラスメイトにステッキが汚され、有里が憎しみの化け物と化すまでは…。少女の孤独に巣くう怪物を描く表題作と、殺意と恋愛でつむぐ女子大生の物語「ひかりのあしおと」。衝撃の2編。
特殊能力を持つ天涯孤独の17歳、鳥谷ジュリオ。ギャングのトップを目指すが、大切な仲間を失ってしまう。同じ頃、市長暗殺未遂が勃発し、元FBIの美女・具志堅花はボディガードを、絵本探偵・羽田誠は犯人追跡を命じられた。しかし、市長の悪行を目撃したジュリオ、花、羽田は、少年・海斗を救うため共に行動を開始。もう誰も失いたくないー孤独な魂が荒ぶる、命懸けの追走劇!
日本占領下の東南アジアに、B29の大空襲を受けた東京に、原爆投下直後の広島に、そしてソ連軍が怒涛のように押し寄せる満州や樺太の地に医師たちの姿があった。国家に総動員された彼らは、食料や医薬品が欠乏する過酷な状況下で、陸海軍将兵や民間人への医療活動を懸命に続けていた。二十年の歳月をかけ、世に送り出された、帚木蓬生のライフ・ワーク。日本医療小説大賞受賞作。
同じ保育園に子どもを預ける作家のユカ、モデルの五月、専業主婦の涼子。先の見えない育児に疲れ切り、冷めてゆく一方の夫との関係に焦燥感を抱いた母親たちは、それぞれに追い詰められてゆくが…。子どもへの愛情と憎しみに引き裂かれる自我。身も心も蝕む疲労、そして将来への深い不安ー。不倫、虐待、流産などのタブーにあえて切り込み、女性性の混沌を鮮烈に描く話題作。