2013年3月発売
古今東西、お風呂にまつわる傑作短編を集めました。滑稽話に純文学、ミステリにファンタジー、さらにSF、幻想、現代小説と各種取り揃えております。お風呂の種類も内風呂、銭湯、サウナ、温泉とよりどりみどり。一入浴につき一話分、お風呂のお供に小説浴はいかがですか?熱読しすぎて湯あたり注意。お風呂好きに贈るお風呂オンリーアンソロジー。お風呂小説の面白さについて熱く語る!?編者あとがきつき。
オランダ記念病院の見学席から手術を見守るエラリーの前に運ばれてきた患者。だが、シーツをめくると彼女は絞殺されていた。被害者は病院の創設者である大富豪。目撃証言から、犯行が可能だったのは執刀医だけに思われたが、彼は何者かが自分に変装したと主張する。その言葉通り、犯行に使われたと思われる一足の靴が見つかるが、様様な不審点があり…。エラリーの論理と分析が冴えわたる「国名シリーズ」第3弾。
湘南・葉山のかたすみにひっそりとたたずむ一軒のホテル。若き女性オーナー・美咲が経営するこの海辺のホテルには、様々なわけあり客たちがやってくる。偽名を名乗るカメラマンや、トーナメントシーズン真っ最中に大会を欠場してやって来たゴルフのトッププロ、三十代の日本人女性と青年アメリカ兵の年の差カップル…。彼らの心に秘められた、謎と事件とはー?等身大な大人の恋愛と人生模様を描き、心に響く連作短編小説。
中学2年の夏休み。新学期を間近に控え静男は途方に暮れていた。生後5ヶ月の優作を置いて、母親の花音さんが失踪。「いま、ぼくにとって家族といえる存在は優作だけだよ」-父親として赤ちゃんを守ろうと必死で奔走する少年の前に現実の壁が立ちはだかる。孤絶感にさいなまれながらなお、命の絆を手放すまいとする14歳の父の奮闘を名曲「グリーングリーン」にのせて描く異色の育児小説。書き下ろし「カブになれ」収録。
宝暦2年。江戸では怪事件が相次いでいた。つむじ風とともに大名家の姫を攫いに現れたのはー鬼だった。広島藩の下屋敷でのんびり暮らしていた京嵐寺平太郎は、突然幕府の命を受け怪事件解決に乗り出す羽目に。だが事件の裏には、徳川家に怨念を抱く僧侶の影が…。幼馴染の三つ目入道や妖艶な白狐のおきん、気まぐれな“妖刀茶丸”など、仲間の妖怪たちと力を合わせて立ち向かう、妖怪痛快時代小説、シリーズ第1弾。
野球小僧の渋谷有利は、正義感と負けん気の強いごく普通の高校生。ところがある日、不良に絡まれ連れ込まれた公衆トイレから、異世界へ流されてしまう。漂着した先で魔王陛下と崇められて、途方に暮れる有利だったが…(「今日からマのつく自由業!」)。無事帰還を果たすも束の間、銭湯の湯槽から有利は再び異世界へ。今度は伝説の魔剣を取りにいく新たなミッションが勃発して!?(「今度はマのつく最終兵器!」)。2冊合本&書き下ろし。抱腹絶倒ファンタジー、開幕。
「神が人を殺した。これは、神々の殺人の始まりだ」-都内で発生した3件の女性殺害事件。その現場には謎めいたメッセージが残されていた。十津川警部は被害者の共通点が「出雲」であることに気づき、出雲大社に向かう。捜査を続ける中で、無人島・祝島に辿り着き、島の神主の息子・神木洋介を事件の容疑者と特定するが、第4、第5の殺人事件が起きてしまい…。十津川は殺意の連鎖を止められるか。
春の名残が漂う頃、隠れ宿「左近」の長男・桜蔵のもとに黒ずくめの男が現れる。タマシイを喰う犬を連れた男、髪や皮をわがものにしようとする男、この世の限りに交わりを求める男…行きずりのあやかしたちをついひろってしまうらしい桜蔵は、そこで彼らのほしいままにされ…酔いしれるような夢と現、濃厚にたちのぼる死の気配と生とのあわいを往還しながら繰り広げられる、蠱惑の幻想譚。
唐軍の侵攻で緊迫する中、同盟国・百済救援のため大和の軍勢が出動するが、決戦を前に、大海人皇子が大将軍を罷免される。額田姫王の想いを利用し、政権内部に陰謀が蠢く。混乱が続く百済戦線では、火攻めを目論む唐の巨大水軍に、大和の将兵が果敢に挑むが…。白村江の敗戦を乗り越え、中大兄皇子と中臣鎌足はいかにこの国を守りぬいたのか?古代国家が直面した国難と危機管理をスリリングに描く古代史小説、ついに完結。
美術商・鳥居の刺殺体が奥多摩で発見される。鳥居は詐欺師・春原から時価2億円の阿弥陀如来像を預かったまま失踪中だった。特捜刑事・香月功は極秘捜査を敢行したが、やがて国立市内で女子銀行員の誘拐事件が発生。だが身代金2億円の受け渡しに失敗してしまう。直後、奥多摩湖に女性の全裸死体が浮かび、さらに富士山麓でも殺人が…。複雑怪奇な連続事件の真相は?絶好調警察小説シリーズ第13弾。
時は平安。陰陽師として類い希なる力を持っている安倍晴明。ある日、押しかけ親友、榎〓(りゅう)斎の誘いで賀茂祭を見に行った彼は、牛車の暴走に巻き込まれた橘の姫を助ける。ところが彼女は、底知れぬ力を持った化け物に憑かれていた。外つ国からきたという、その化け物を倒すため、晴明は十二神将を式神とし対抗しようとする。しかし、十二神将は人の思いが具現化した神。人が御すことなど不可能と言われる伝承の存在だったー。
苦労して解いた算法の難問「十字環」に、旅の算法者が新しい解き方を示したという。面目を潰された江戸算法塾・長谷部塾の二文字厚助は、“刀を抜かぬ果たし合い”をすべく、謎の算法者を追う旅に出た。ある日、山の土地分割を巡り争う村に立ち寄った厚助は、得意の算法を使い山を測ってやるのだが…。事件、騒動、銭勘定。算法ならば通る理屈も、人の世ではまるくおさまるためしなし。悪戦苦闘の珍道中、痛快時代小説。
将軍直属の隠密、お庭番の下忍である織江は、凄腕のくノ一。運命の夫・彦馬と平戸で出会う前、長州に潜入し忍者隊の腕前を調べていた折、不気味な相手に目をつけられてしまう。その後、彦馬は平戸に潜入してきた織江と結婚し、江戸ですれ違いの日々を送るのだが、織江が恐ろしい敵に狙われていたことなど、知るよしもなかったー。最凶最悪の敵から、織江は逃れることができるのか?人気沸騰シリーズ、待望の新章始動。
大坂屈指の版元にして、実は上方の裏仕事の元締である一文字屋仁蔵の許には、数々の因縁話が持ち込まれる。いずれも一筋縄ではいかぬ彼らの業を、あざやかな仕掛けで解き放つのは、御行の又市の悪友、靄船の林蔵。亡者船さながらの口先三寸の嘘船で、靄に紛れ霞に乗せて、気づかぬうちに彼らを彼岸へと連れて行く。「これで終いの金比羅さんやー」。第24回柴田錬三郎賞を受賞した、京極節の真骨頂。
美しい娼婦の四姉妹が遺したものは?(「1、2、3、悠久!」)。愛するその「手」に抱かれて、わたしは天国を見る。(「ジャングリン・パパの愛撫の手」)。死にかけた伝説のロック・スターに会うため、少女たちは旅立つ。(「地球で最後の日」)。エロスと、魔法と、あふれる音楽!-直木賞作家が描く、甘美な滅びの物語集。最初期から最新作までを網羅したインタヴュー集「桜庭一樹クロニクル2006-2012」も同時収録。
天涯孤独となった彦蔵は、藩への復讐心を抱きながら、生きるために剣術道場・凌宥館の副師範代となった。だが、幼い頃より好んで描いていた絵で身を立てられぬかとの考えも、頭をよぎる。そんな折、類い希なる剣の腕とまっすぐな性格を見込まれた彦蔵は、さる人物から密命を受けることとなるがー。恋仲だったおまきを描いた絵、そして驚くべき密命が、彦蔵の運命を大きく揺さぶる。著者渾身の書き下ろしシリーズ、第2弾。
いよいよ始まった“戦国学園祭”。泉水子たち執行部は黒子の衣装で裏方に回る。一番の見せ場である八王子城の攻防に見立てた合戦ゲーム中、高柳たちが仕掛けた罠に自分がはまってしまったことに気づいた泉水子は、怒りが抑えられなくなる。それは、もう誰にも止めることは出来ない事態となって…。ついに動き出した泉水子の運命、それは人類のどんな未来へ繋がっているのか!?現代ファンタジーの最高傑作、RDGシリーズ第5巻。
両親を亡くした11歳のポリアンナは、気むずかしい叔母、ミス・ポリーのもとに引き取られた。ポリアンナはどんなに辛いことがあっても、その中に「嬉しい」ことを見つけるとたちまち元気になれる。そのお父さんとの約束、「嬉しい探し」ゲームは街中に広がり、ミス・ポリーや大人たちとの冷たい心を変えていった。ところがそんなポリアンナが交通事故にあってしまい…。涙と笑顔いっぱいの不朽の名作が、いよいよ新訳で登場。
人が苦手で無愛想。趣味は遺品集めという高坂和泉には特異な能力がある。それは死者の想いを観られるということ。和泉は、ある特別な絵画を報酬に、開かずのアンティークオルゴールの鍵探しをすることに。箱に遺された想いから手掛かりを得ようとするが、なぜか上手くいかない。そんな和泉の前に、トラウマを与えられた葬儀社の男、透吾や絵画蒐集のライバル、貴士も現れて…。死者が遺した優しい秘密。シリーズ第2弾。