2013年4月5日発売
ベストセラー『水曜の朝、午前三時』著者が十年ぶりに放った長編恋愛小説、待望の文庫化。「私」は編集者。あるとき手記募集で応募してきた女性に関心を持ち面接をする。その女性、毛利伊都子は女優であり、彼女の波乱の人生に興味を持ち、ほどなく交際を始める。伊都子には息子がいたが夫の影はなく、同じく娘を持つ私は共感を覚え、密かな情事を深める。だが伊都子の家に出入りするうち私は監視されていることに気づいてしまう。彼女の息子の父親であるかつての恋人が指名手配されていたのであった。苦くて甘い大人の恋愛を描かせたら他の追随を許さない著者の、真骨頂ともいえる長編。
大黒シズオはバツイチ子持ちの四十二歳。“本当の自分”を探すため会社を辞めるも、朝からゲーム三昧で父親に怒鳴られ、高校生の娘に借金する始末。バイト先ではミスを連発、年下の店長に説教される毎日だ。そんなある日ー。「俺、マンガ家になるわ」ついに自分の生き方を見つけたと宣言するシズオだが!?『このマンガがすごい!』にランクインした人気原作をもとに、史上最強にダメダメな主人公を堤真一が演じる話題の映画を完全ノベライズ。四十路にして夢を追い始めたおっさんと、彼に振り回されて「いい迷惑っ!」な人々をめぐる“迷子のおとな”アドベンチャー。
バーチャル・リアリティが日常の娯楽として定着しつつある中、究極のアミューズメントとして期待のかかるVD(バーチャル・デス)。その開発に世界で最初に成功した日本の会社が原因不明の爆発を起こし、VDの関係者ほぼ全員が死亡した。事故か、破壊工作か?事故調査委員会から協力を要請されたUAI(未確認事象捜査官)藤森捷子が見たのは、常識では考えられない異様な爆発現場だった。調査を進めるうち、VD開発の裏で隠され続けてきた暗部が次々に明らかになっていく。もはやアミューズメントの域を超え、人類の「在りかた」そのものを変えようとしているVDの真の機能とは何なのか。