2013年5月28日発売
火計は見事成功!天下分け目の決戦は、周瑜の呉軍が勝利を収めた。しかし劉備と孫呉は荊州をめぐる対立関係に。争いは諸葛亮の鮮やかな一計により劉備が先んじる。勢いを恐れた孫権は、妹を劉備に嫁がせ、婚儀にて彼を誅殺しようと画策。そのころ曹操は、赤壁の大敗を払拭すべく西涼に進出。三者の覇権争いが激化する中、蜀で劉備を迎えようという動きが起こるー。逆転と義勇の第七巻。
吉岡一門との大死闘を切り抜けた武蔵。起死回生の勝利の酔いから醒め、敵将とはいえ年若い少年を斬り捨てた記憶に胸を痛める。いっそ修行などやめ、愛する女と暮らせたら…とさえ思う。だが猛る恋心をぶつけたお通には、逃げられてしまう。剣の道と人の道との相剋に身を削る武蔵が、飽くなき自問の果てに把えた閃きとはー。願いは交錯し、隘路へ誘う。邂逅と別離に心揺れる第五巻。
恋をしたとき、女の準備は千差万別。海の穴に住む女は、男をすりつぶす丈夫な奥歯を磨き、OLの誠子さんは、コロボックルの山口さんを隠すせんべいの空き箱を用意する。おかまの修三ちゃんに叱られ通しのだめなアン子は、不実な男の誘いの電話にうっかり喜ばない強い心を忘れぬように。掌小説集『ざらざら』からさらに。女たちが足をとられた恋の深みの居心地を描く22の情景。
総監へのレクチャー中、部下の拳銃自殺を知った。柴崎令司は三十代ながら警部であり、警視庁総務部で係長を務めつつ、さらなる出世を望んでいた。だが不祥事の責任を負い、綾瀬署に左遷される。捜査経験のない彼の眼前に現れる様々な事件。泥にまみれながらも柴崎は本庁への復帰を虎視眈々と狙っていた。日本推理作家協会賞受賞作「随監」収録、あなたの胸を揺さぶる警察小説集。
魚彦。僕の変な名前は、お母さんの初恋にちなんでつけられた。写生大会で行った臨死の森で、転校生・海子の秘密を見てしまう。二人だけの秘密。夏の海の水の音。色ガラスの破片。車椅子の今田は魔法使いに会ったという。そんなの嘘だ、嘘であって欲しいと思う。出処の知れない怒り、苛立ち、素晴らしい遊び、僕はこの楽園を飛び出したいのかもわからない。あの神話のような時代を。
貧乏侍が用人兼留守居役補佐に大抜擢されてはや半年。諫早藩士・沢村涼之進は、藩主・政直の密命を受け、京に旅立った。政直の結婚相手・房江の実家である八坂中納言家には、幕府を揺るがす、大きな秘密があるらしい。到着早々、黒覆面の侍たちに襲われた涼之進。彼を救ったのは、諫早藩改易を狙う老中の懐刀・仙石誠之助だった…。風雲急を告げる、シリーズ第三弾。