2013年6月7日発売
なぜ『こころ』のKと先生は自殺しなくてはならなかったのか?意外なキーパーソンとして浮かび上がる静と青年ー漱石は「女の謎」に悩み続けた時代の教科書だった。高校生から大人まで、国民的作家がぐっと身近に感じられる一冊。新たに2章を特別書き下ろし!
十六世紀初めの戦国時代。土豪たちがひしめく中国山地の小領主だった毛利元就のもとに、“鬼”といわれる吉川国経の娘が輿入れした。権謀術数うずまく乱世にあって、ふたりは支え合いながら否応なく戦国の夫婦として生きていく。やがて元就は頭角をあらわしはじめるが…。NHK大河ドラマの原作となった長編歴史小説の傑作。
大内氏と尼子氏の二大勢力のはざまで翻弄され続ける元就。たび重なる危機的な戦い、身内の裏切りなど苦境を乗り越えて、戦国時代屈指の名将への階段を上っていくが、隣にはいつも、愚痴っぽい元就を支えた妻の天性の明るさがあった。三人の息子たちとともに乱世を生きぬく武将とその妻を描いた長編小説。
暴走族あがりの集団SS会の男を揉合いのうちに刺殺してしまった青年は、ブルートレインに乗って、長崎へ向かった。復讐に燃えて追いかけるSS会の仲間たちと、十津川警部。果たして青年を捕まえるのはどちらか?大ベストセラー「寝台特急殺人事件」から25年を経て、新たに書き起こされた白熱のトレイン・ミステリー!
名も素性も想い起こせぬ女から手渡された「先生のあさがお」の種。あさがおの先生といえば、四年前に逝った先輩医師しかいないはずだが…。「わたし」をかたどる記憶のあいまいさにただ立ちつくすー。他者の死に関わる医業で疲弊し、かろうじて生きのびたいま、妻と分かち合う平凡で危うい日常を描く作品集。
「闇神波は本気で我らを根絶やしにする気だ」。刺客、暗殺、陰謀。江戸で男が次々と闇から斬りつけられる中、燦はついに争う者たちの手触りを感じ始める。一方、伊月は藩の代替わりの準備に追われるが、圭寿の亡き兄が寵愛した美しき個室・静門院が面会を求めてきて…。少年たちが苦悩する、文庫オリジナルシリーズ第四弾。
信長の命により息子の信康を自刃させてしまった家康。日々鬱々として過ごす家康は、ある日名案を思いつき、臣下の服部半蔵を安土城に派遣する。果たしてその結果は?表題作「安土城の幽霊」ほか、一つの小さな茶壷にまつわる天下取りの因縁を描いた「つくもなす物語」など著者初めての中篇歴史小説集。秀吉の秘技、家康の妄執、天下人たちの意外な素顔を巧みに描く本能寺三部作外伝。
東京から夫の故郷に移り住むことになった梨々子。田舎行きに戸惑い、夫とすれ違い、恋に胸を騒がせ、変わってゆく子供たちの成長に驚きー三十歳から四十歳、「何者でもない」等身大の女性の十年間を二年刻みの定点観測のように丁寧に描き出す。じんわりと胸にしみてゆく、いとおしい「普通の私」の物語。
戦国時代末期、天正遣欧少年使節としてローマに派遣された四人の少年。八年後に帰国した彼らを待っていたのは禁教と厳しい弾圧だった。三人は信仰に殉じたが、千々石ミゲルだけが棄教する。なぜ彼は信仰を捨て生き抜こうとしたのか。その生涯をある女性の視点から描いた傑作歴史小説。第十七回松本清張賞受賞。
県民マラソン大会のコースを駆け抜けてくるのは「ダチョウだって?」-そして発見された焼死体。捕獲したダチョウと被害者とをつなぐものとは?キリン飼育員・桃くんにツンデレ女王・鴇先生、変態(?!)・服部くん、アイドル飼育員・七森さんら、楓ヶ丘動物園の怪しく愉快な面々が活躍する動物園ミステリー第2弾!
ところは江戸の根津宮永町。鯖縞もようの猫が一番いばっている長屋があった。人呼んで「鯖猫長屋」。猫の名はサバで、飼い主は、三十半ばの売れない画描き拾楽。なぜサバが一番えらいかって?それはサバが永代橋が落ちることを予見し、長屋の面々を救ったからー。そんな猫様が仕切る長屋で次次と起こるふしぎな事件。謎を解くのは、画描きの拾楽?それとも…。突然越してきた美女、大道芸が得意な浪人者…。「わけあり」な人々と猫が織り成す大江戸謎解き人情ばなし。