2013年9月6日発売
警視庁組織犯罪対策部の沢渡と滝本組幹部の波多野は、組織に追われる中国人女性を見殺しにしたトラウマを抱えていた。そんな二人のもとに中国黒社会の新興勢力「義水盟」の沈が現れる。黒社会の大組織・天老会に追われているカンボジア人女性サリカを匿ってほしいと沈から頼まれる二人。サリカは天老会の最高機密を握っているらしい。義侠心に富む波多野はサリカを隠れ家に匿うことになるが…。トラウマをもつ無気力警官、武闘派ヤクザ幹部、そして若き黒社会の首領が交錯するとき、漆黒の闇に潜む巨悪が顔を覗かせるー『機龍警察』の著者による書き下ろし長篇警察小説。
真砂代は一九歳になったが、見栄えのしない容姿であることは自分でも分かっていた。近所のおばさんの仲介で見合いをしたけれど、相手の男性はほとんど話もしないうちに席を立ってしまう。みんな自分のことを傷つけても踏んづけても構わないと思っているのだ。見合いをした男性には、ずっと思い続けている貴子という年上の女性がいるらしい。その貴子と偶然知り合った真砂代は、日中限定で家事を手伝うようになる。働いている様子もないのに豊かな暮らしを続け、絵ばかり描いている貴子とは何者なのか。時空を超え真砂代が辿り着いた真相に、あなたは必ず驚愕する!
チケットを違法に高値で転売することを生業とするガジロウは、金と女がすべての冷徹な遊び人だ。交通事故がきっかけで、願いを叶えてくれたら預金通帳の中身をすべてくれるという四人(女三人男一人)と出会ったガジロウは、いいカモを見つけたと小躍りする。しかし、願いは四人それぞれで無理難題ばかり。それでも大金を得るためと奔走するガジロウに、やがて変化が訪れ、物語は想像すらしなかったクライマックスを迎える。タイトルの意味を知ったとき、きっと大きな感動に包まれます!読み手の予想を鮮やかに裏切る、最高に素敵な物語!!
めっぽう腕の立つサムライが長崎で用心棒をしているという。噂を耳にした福澤諭吉は文久元年、江戸から書状を送る。オランダ坂のサムライは、妻子とともに薩摩の関を破ったあの脱藩浪士にちがいないー合伝流鉄炮師範で十五匁筒の使い手・斬善次郎だ。故島津斉彬から下賜された愛刀・波平に不思議な模様を見つけた善次郎は、かつての盟友への思いと薩摩藩の秘密を胸に秘め、妻子を連れ京都へ向かう。だが薩摩の実権を握る島津久光もまた一千の兵を率いて上洛を目論んでいた。西郷吉之助、坂本龍馬ら幕末志士と、風雲急の世を熱き魂で撃ち抜く痛快活劇第二弾。
社会人二年目の結月は、年齢=彼氏いない歴の二十四歳OL(処女)。恋愛願望はあるが、漫画みたいな白馬の王子様はなかなか現れてくれない。さらに憂鬱なのが、毎月、行われる顧問税理士・吉川さんとの経理チェックの時間。小さなミスも逃さない冷徹指導に、胃が痛い日々を送っていた。そんな超苦手男から、突然、交際を申し込まれた。どうしたらいいかわからず、恋愛ハウツー本の知識を必死に思い返す結月だが、気づけばいつも吉川さんに振り回されっぱなし。こんなの理想の恋愛じゃない!非モテ女の悩める女心を描いた、極甘ラブストーリー。番外編二作も収録。
伊豆に湯治に出かけて二月、おたね婆さんが戻ってこない。おたねはひぐらし店で独り暮らしの身。元は辰巳芸者で、材木商の後添えとなったが、前妻の子が主となってからはひぐらし店に追いやられていた。湯治はその義理の息子がお膳立てしたもの。長逗留しても不思議はないが、おたねを家族同然に思う近所の者が大番頭に尋ねると、思いも寄らぬ答えが。おたねを慕う者が急ぎ集まった。
「そうだよ、あっしが喋ってるんですぜ」。目の前の犬に言われて白九郎は驚いた。傍目にはどこにでもいる雑種なのに、白九郎にだけは鳴き声が言葉となって伝わってくる!しかも、自分の名前まで知っていた。仔細を聞くうちに、牙黒と名付けた黒い歯の犬こそ天の賜物と思った白九郎は、賭場荒らしで食いつなぐ日々から一念発起。牙黒のため、体を張って非道の旗本をとっちめることに!
雨の露天風呂での情交。あれが、わが最後の華だったのか?地方都市で飲食店や娯楽施設を展開するグループ企業を一代で築いた樫村隆造は、近頃倦んだ日々を送っていた。相談役に退くとともに男の機能も不全になってきたのだ。しかし、一人の熟女が社を訪れたときから、隆造の身辺と下半身はざわめき始めた。彼女こそ社長時代の秘書、そして露天風呂の女であった…。回春エロス快作!
藤原清河の家に仕える高向斐麻呂は、唐に渡ったまま帰国できぬ父を心配する娘・広子のために唐に渡ると決め、大学寮に入学した。儒学の理念に基づき、国の行く末に希望を抱く若者たち。奴隷の赤土に懇願され、秘かに学問を教えながら友情を育む斐麻呂。そんな彼らの純粋な気持ちとは裏腹に、時代は大きく動き始める。デビュー作にして中山義秀文学賞を最年少受賞した傑作、待望の文庫化。
仏教推進派の阿倍上皇が大学寮出身者を排斥、儒教推進派である大炊王との対立が激化。斐麻呂が尊敬する先輩・桑原雄依は、寝返った高向比良麻呂を襲撃、斬刑に処せられた。雄依の親友で弓の名手・佐伯上信は、雄依の思いを胸に大炊王、恵美押勝らと戦いに臨む。「義」に殉じる大学寮の学生たち、不本意な別れを遂げた斐麻呂と赤土。彼らの思いは何処へ向かう?中山義秀文学賞受賞作。
著書520作を超え、質・量ともに膨大な西村ワールドを築き上げた氏。あまたの短篇作品群から、函館・十和田湖・伊豆・京都等人気の観光地を舞台にした旅情ミステリーの選りすぐりを一冊に新編集。また、徳島・祖谷渓・与論島を舞台にした、本書が初めての収録となる短篇5作品をあらたに加えたファン待望の傑作集。
数々の難事件を解決してきた名コンビ、数学者の黒江壮と文芸編集者の笹谷美緒は、十五年という永すぎた春にようやくピリオドを打ち結婚した。幸せな結婚生活を送る二人のもとを美緒の親友・佳奈が訪れた。数日前に起きた殺人事件の被害者の妻・智恵美が、八年前に事故死した佳奈の兄の元妻だという。二人には生命保険がかけられていた。疑惑を向けられ、頑なに否認する智恵美だが…。
参勤交代の陰供として旅する若武者。その正体は、藩主の末娘、茜であった。男装して柳生新陰流を遣う茜は刺客に襲われた父の窮地を救うが、江戸入り後は奔放な言動で家老の塩谷隼人を困らせている。ある日、慎重な隼人に業を煮やした茜は、刺客を討つべく藩邸を無断で抜け出す。隼人が守りに徹してきた理由はただ一つ。人を斬ったことのない若者に無茶をさせたくなかったからだった…。
「いっせーのせっ!」-楽しげなかけ声とともに、女子高生54人が、新宿駅のホームから、電車に飛び込んだ。だがそれは、始まりにすぎなかった。自殺の連鎖は、またたく間に、全国に広がっていく。様々な憶測が飛びかうなか、やがて“自殺クラブ”の存在が、浮かび上がって…世界的映画監督・園子温による傑作小説。
離婚した父親が残していった黒くて大きな犬。僕にしつこくつきまとう同級生のサダ…やっかいな中学生活を送る僕は時折、犬と秘密の場所に出かけた。その茂みの奥には、悪臭を放つ得体の知れない“肉”が埋まっていて!?日本文学史上初の兄弟ユニット作家による第46回文藝賞受賞作/芥川賞候補作。