2013年発売
複数の死亡事件の背後に見え隠れする、ある団体の影ー疑惑の究明に動きながら、御手洗潔は事件関係者の大学助教授とともに、幕末に老中首座を務めた福山藩主阿部正弘と、かつて瀬戸内を制した水軍の秘密に迫っていく。そこに、鞆に暮らす革職人一家が襲われる凄惨な事件が発生。これを糸口に、御手洗の推理で炙り出される事件の全容。そして「潮待ちの港」の歴史に秘された奇跡とはー!?御手洗潔、国内編最終章。
時は宝暦。花のお江戸の辻に立ち、頼まれたらいかなる妖怪・魔物・祟り神でも必ず祓うー辻風の六、通称拝み屋ろくヱもんはある日の夕暮れ、逢魔ヶ辻に見台を出した。夢が「ここに立て」と教えてくれたのだ。果たして現れたのは、いま話題の看板女形とひとりの少女。そして少女の背中にいたのは侍姿の猫神さま!?猫神さまの依頼を受けて、ろくヱもんはとんでもない妖怪と戦うことに!
「いつもと違う音なの」ジェットコースターおたくの桜田陽子はT遊園地の異変に気づいた。一方、イケメン泥棒の今野淳一はある女性からT遊園地の保安係、神中弥吉が持っているナイフを見付けるよう依頼される。ところが、彼女は遊園地で突然殺されてしまう。淳一の妻、美人刑事の真弓も現場へ。ナイフに隠された秘密とは?そして大勢の客を乗せた大人気ジェットコースターはどうなる!?
甲府藩主綱重の生母順性院に黒鍬衆が牙を剥いた。九死に一生を得たものの、用人山本兵庫は怒り心頭に発し、黒鍬衆を次々に暗殺。なぜ順性院は狙われたのか。事件を知った将軍家綱はお髷番深室賢治郎に全容解明を命じる。やがて将軍後継争いのあらたな火種を探知した賢治郎だが、覚えず巧妙な悪略に足をとられる。家綱に誓った絶対的忠義。身命を賭して二重三重に張り巡らされた罠に挑む!
思いを寄せる女性がトラックに撥ねられた。だが、不思議な力で前日の世界にもどった男は、事故現場へと走る(『片想いの結末』)。チャンスに弱い四番打者は、病気の子供との約束を守るため、もう一度打席に立つ(『四番打者は逆転ホームランを打ったか?』)。売れない漫才師は、余命三ヶ月の相方を連れて、敗者復活戦の舞台へと向かう(『最後の舞台』)。号泣必至の時間SFファンタジー!
1978年、十津川警部&亀井刑事の活躍を描き大ベストセラーとなった『寝台特急殺人事件』以来、ミステリー界を牽引してきた西村氏。しかし氏の膨大なミステリー作品群で活躍する刑事はじつに多彩だ。ベテラン、新人…警察機構の中で悪戦苦闘する警察官や刑事たちの姿を描いた警察小説傑作選!『若い愛の終り』は本書が初収録!
生灯は海で溺れていた人魚を助けてしまう。人魚のくせに泳げないミィは、さしあたって行くところもなく、ひとまず生灯の家のお風呂での居候生活がスタート。ある日二人が泳ぎの練習をしに川へ行くと、突然男が現れた。ヤツはなんと女性アレルギーの吸血鬼!その後も生灯の周囲に欠陥妖怪がわらわらと寄ってくる!彼らの目的って一体なんなの?ダメダメ妖怪たちの奇妙な生活ストーリー。
インドから帰還した同性愛者のカメラマンの秘められた記憶、Bと父がアカプルコで過ごした奇妙な夏休み、元サッカー選手が語る、謎のチームメートとの思い出…貴重な自伝的エピソードも含む、「秘密の物語」の数々。心を震わす13の短篇。
財政破綻した極北市の市民病院。再建を図る新院長・世良は、人員削減や救急診療の委託を断行、非常勤医の今中に“将軍”速水が仕切る雪見市の救命救急センターへの出向を指示する。崩壊寸前の地域医療はドクターヘリで救えるか?医療格差を描く問題作。
妻子を愛するがゆえに、秘密の研究に没頭する男に隠された謎を巡り、杉下右京と神戸尊の意見が真っ向から対立する「すみれ色の研究」、子供たち7人を人質としたバスに強引に同乗した尊と、彼の残したヒントから捜査本部で事件解決を目指す右京の奮闘を描く「ピエロ」、フィリップ・マーロウを敬愛する探偵・矢木が、特命係を巻き込んで活躍する「名探偵再登場」など7篇。連続ドラマ第10シーズンの第7話〜第13話を収録。
一人の武士の遺骸が河岸で見つかった。男は村塾の教師・梶与五郎。かつての教え子・日坂藩士の筒井恭平は、師が殺された真相を探るべく隣藩へ決死の潜入を試みるー。命がけで人を愛するとは、人生を切り拓く教育とは何かを問う、感動の長篇時代小説。
暴れ茶人、小堀梅之助は、遠州流家元だった。父から茶の道でお家を再興せよと言い遺されていた。京の孤篷庵で、思うぞんぶん武芸を愉しみ、悪友どもと賭場に入り浸っていた梅之助だが、江戸に出府してひと癖もふた癖もある高利貸しと気の強いその娘、豪放磊落な謎の脱藩浪人との出会いを通じて人間力を磨いていく。機略溢れる梅之助の無頼剣が江戸の悪党どもをぶった斬る。痛快時代小説の決定版!
親の事業が失敗し、マスコミに叩かれ、学校にも行けなくなった葛羽紅葉、十七歳。世界中を敵に回した女子高生に、悪魔が契約を持ちかける。その条件とは命を捧げることーではなく、そいつの「100の質問」に答えることだった…。追い詰められた少女と、尻尾の掴めない男が出逢うときに生まれる、奇妙で不思議な対話の先に待つものは…?
高校2年生の夏休み。受験勉強を前に、羽を伸ばしてすごせる最後の夏、「僕」は仲間たちと映画制作を始めた。監督の「僕」は以前から気になっていた同級生、百合川京子を主役に抜擢し、撮影は快調。しかしその最終日、ラストシーンのロケ場所から、彼女の姿が消えたー!?感動的な結末に心がほっこりする中編「夏の終わりと僕らの影と」はじめ、本格ミステリの名手の技が光る3編を収録。
ブエノスアイレス近郊、日系人の町で育った佐和子とミカエラの姉妹は、少女の頃、恋人を“共有する”ことを誓い合った。姉妹は日本に留学して、佐和子は大学で知り合った達哉と結婚する。ミカエラはアルゼンチンに戻り、父親のわからない娘アジェレンを産む。実は達哉は、佐和子が姉妹で“共有する”ことを拒んだ唯一の男性だった。いまは地球の反対側に住む姉と妹だったが、佐和子は突然、離婚届を残して、アルゼンチンへと旅立つ。後を追う達哉だったが、佐和子には逃避行をともにする若い教え子の田渕がいた。東京から南米ブエノスアイレス、華麗なるスケールで描いた恋愛小説。
起業のためにIT企業を辞職した多岐川優が、人生の休息で訪れた故郷は、限界集落と言われる過疎・高齢化のため社会的な共同生活の維持が困難な土地だった。優は、村の人たちと交流するうちに、集落の農業経営を担うことになった。現代の農業や地方集落が抱える様々な課題、抵抗勢力と格闘し、限界集落を再生しようとするのだが…。集落の消滅を憂う老人達、零細農家の父親と娘、田舎に逃げてきた若者。かつての負け組が立ち上がる!過疎・高齢化・雇用問題・食糧自給率、日本に山積する社会不安を一掃する逆転満塁ホームランの地域活性エンタテインメント。
北朝鮮の特権階級に生まれ、謀略機関・統一戦線事業部に勤務。韓国や国内向けの文化戦略に重きを置く政権のために金王朝礼賛詩を書き、若くして「将軍様の接見者」になり順調に出世の道を歩む。招待所暮しで幹部たちから聞く裏話は、簡単には近づけない権力中枢の秘密だった。何不自由ない暮しを捨て、貴族詩人は表現の自由を求めて脱北する。脱北から9年、初めて明らかにする金王朝の真実。