2014年11月17日発売
鳩の撃退法(上)鳩の撃退法(上)
かつての売れっ子作家・津田伸一は、いまは地方都市で暮らしている。街で古書店を営んでいた老人の訃報が届き形見の鞄を受け取ったところ、中には数冊の絵本と古本のピーターパン、それに三千万円を超える現金が詰め込まれていた。「あんたが使ったのは偽の一万円札だったんだよ」転がりこんだ大金に歓喜したのも束の間、思いもよらぬ事実が判明する。偽札の動向には、一年前に家族三人が失踪した事件など、街で起きる騒ぎに必ず関わっている裏社会の“あのひと”も目を光らせていた。
鳩の撃退法(下)鳩の撃退法(下)
「このままじゃおれたちはやばい、ラストに相当やばい場面が待っているかもしれない。おれたちというのは、床屋のまえだとおれ、それにもちろん津田さんの三人組のことだ。だけど厳密にやばいのはあんただよ。わからないか。夜汽車に乗って旅立つ時だよ」いきなり退職金を手渡された津田伸一にいよいよ決断の機会が訪れるー忽然と姿を消した家族、郵便局員の失踪、裏社会の蠢き、疑惑つきの大金…たった一日の交錯が多くのひとの人生を思わぬ方向へと導いてゆく。
稽古長屋 音わざ吹き寄せ稽古長屋 音わざ吹き寄せ
元吉原の北、長谷川町三光新道に稽古屋の看板を掲げた音四郎と妹お久。眉目秀麗な兄は四年前まで期待の女形だった。舞台を去る原因となった脚の怪我をめぐる醜聞の真相とはー絃音ひびく江戸情緒あふれる九編を収録。
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