2014年11月20日発売
“貴族祭”の行われるダルマラス村に巨大石棺を無事に届けたことで、Dたちの仕事は終わったはずだった。しかし、石棺の中にいるのがローランジュ公爵夫人だと知った村長が、祭りが終わるまでDに村に残るように依頼する。そして祭りの当日、貴族用の墓所に運び込まれた石棺が騒ぎはじめ、見張りの村人がバタバタと倒れる事態に村長は、Dに助けを求める。しかし、それは公爵夫人がDをおびき出すための罠だったー!?
巧妙な手口が神業と噂の盗賊、鼬鼠の伝五郎が捕まった。残した千社礼の裏面に拙い文字でおとっつァんと小さな落書きがあったのが決め手という…悪行に手を染めても薄幸の女たちと築いた家族を護ろうとした男の数奇な人生。どんな親でも親は親ー血が繋がっていようといまいと、立派であろうとなかろうと、その巡り合わせは特別なもの。いつの時代にも通じる親子の情を万感胸に迫る筆で謳いあげた人情時代小説・第四弾!
元暴力団捜査係の刑事・遠沼が拳銃を盗み、留置場にいた女性を連れて失踪した。彼を追う特捜刑事・香月功は、“蛇の指輪”をはめた暴力団幹部に急襲される。何故か、東西の暴力団も遠沼を捜しているという。そのことを知った香月は、それぞれの組長の愛人達に接近。捜査のうちに明らかになる遠沼の正体と、“蛇の指輪”の悲しき因縁とは?暴力うずまく世界を警察手帳を持たずに捜査する“顔のない形事”シリーズ第18弾!
厳しい母親を恐れながらも、幼い頃は誇りに思っていた。いつからだろう、母を愛せなくなってしまったのはー。小説家の夏帆は、母親への畏怖と反発を抱えながら生きてきた。反抗の果ての密かな放蕩、結婚と離婚。38歳になりあらためて母娘関係と向き合う夏帆に訪れた、衝撃の真実とは。愛と憎、最も近い女同士の、逃れられないつながり。母を持つすべての人に贈る、共感と感動の自伝的小説。
織田信長の二女、冬。その器量の良さ故に、父親に格別に遇され、周囲の女たちの嫉妬に翻弄される。戦国の世では、男は戦を行い、熾烈に覇権を争い、女は武器を持たずに、心の刃を研ぎすまし、苛烈な“女いくさ”を仕掛けあう。その渦中にあって、冬は父への敬慕の念と、名将の夫・蒲生氏郷へのひたむきな愛情を胸に、乱世を生き抜いてゆく。自ら運命を切り開いた女性の数奇な生涯を辿る歴史長編。
1792年8月の蜂起で王権が停止され、国王一家はタンプル塔に幽閉された。パリの民衆は反革命の容疑者たちを次々に虐殺。街に暴力の嵐が吹き荒れ、立法議会に代わって国民公会が開幕すると、新人議員サン・ジュストの演説をきっかけに国王裁判が開かれることに。議員たちのさまざまな思惑が交錯する中、ついにルイ16世の死刑が確定しー。フランス王政の最期を描く、血塗られた第12巻。
新聞記者の私はやむない事情から弟夫婦の子、なずなを預かることになった。四十代半ば独身の私にとっては、生後二ヶ月の赤ん坊を相手にミルクをあげるのもおむつを替えるのも未知の体験。何気ない仕草や発声に様々な発見をしながら、ジンゴロ先生や友栄さんら周囲の温かい人々に見守られて、私はなずなとの暮らしを始める。生命の瑞々しさに溢れた育児小説。第23回伊藤整文学賞受賞作。
古い都の南、朽ちた楼門の袂で、男は笛を吹いていた。笛を吹いてさえいれば、男は幸せだった。ある春の夜、笛を吹く男の前に、黒い大きな影が立っていた。鬼だ。笛の音を気に入った鬼は、男に絶世の美女を与え、百日の間は絶対に触れてはならぬと告げるが…(「鬼の笛」)。人ならざるものを描くことで浮き上がる、人間の業や感情。民話や伝承をベースに紡がれた六編を収録した短編集。
一人きりで目覚めてしまう明け方。私は人の声に触れたくて、知らない誰かに電話をかける。冷たいシーツの上、澄み切った夜明けの青い空気の隙間で溺れてしまわないようにー(「顔色の悪い魚」)。色彩が、もし息子たちを生むのなら、五感は、常に心を親にしている。金、赤、青、紫、白、緑、橙、黄、灰、茶、黒、銀。心の中のパレットから選びだした言葉で描きだされた、12色の短編集。
その映像は、開けてはならないパンドラの箱だった!?大手放送局に勤務する川原庸次は、かつて学生運動に参加していたという上司からT大時計台闘争にまつわるスクープ映像の存在を聞かされる。初めは半信半疑の庸次だったが、十二年間にわたり地下に潜伏し続ける男、井田と出会い、その存在を確信する。しかし彼の死を境に事態は急変し…。テレビ局を舞台にした緊迫の長編サスペンス。
時は慶長、大坂の陣。眼下には大地を埋め尽くさんばかりに徳川勢の旗幟がはためく。真田幸村は己の造った出丸に立ち、苛烈な戦場を見据えていた。身に纒うは朱一色の戦装束。狙うは家康の首級ただひとつ。武士に生まれし者の宿命、見事に命の華を咲かせ、武名の芳香を遺そうぞーたったふたつの戦にすべてを賭けた、稀代の智将の壮烈な生きざまを、濃密かつ流麗な筆致で描ききる戦国歴史巨編。
1514年夏。国王ヘンリー8世の巡幸に伴う弁護士業務と、北部で捕らえられた謀反人ブロデリックをロンドンに連行するよう命じられたシャードレイク。訪れた北部の町ヨークで、ガラス職人オールドロイドが王に関する不穏な言葉を残して落下死する現場に遭遇する。やがてシャードレイクが幾度と命を狙われる一方、ブロデリックの身も危うくなり…。CWA賞受賞シリーズ、英国で大人気の歴史ミステリー。
ヘンリー8世巡幸での役目を終え、あとはロンドンへ謀反人を護送するだけとなったシャードレイク。ヨークを発った晩にまた襲われるが、その犯人は意外な人物だった!さらにロンドンにたどり着いたシャードレイクを待っていたのは、身も凍る過酷な試練。そして、ヨークでの謁見以来、シャードレイクの中に募る王への不信感は、驚愕の事実とともに、一連の事件の真相へとシャードレイクを導くのだった!
南アフリカの灼熱の空の下、ひとりの男が息子を殺される。それは、“アルテミス”と呼ばれる殺人者が誕生した瞬間でもあった。犯罪者を標的にした連続殺人の捜査にあたるのは、飲酒問題に苦悩する刑事。一方、幼子を抱えた若い娼婦が、牧師に驚くべき告白をする…。様々な人生模様が複雑に絡み合う時、壮大なるミステリの構図が浮かび上がる。実力派が放つ「マルティン・ベック賞」に輝く傑作!
チェコ・シュルレアリスムの巨匠が描く、ゴシック小説!鞭打ち、不老長寿、魔術、吸血鬼、異端審問、双子のロマンス…果たして少女はイタチ顔の長官、老婆、神父に打ちかつことができるのか?17歳の少女、欲望×背徳の一週間。