2014年3月15日発売
江戸中でも評判の深川三好町「百合花」は、仕事を探す女人のための口入れ屋。若草色の暖簾を潜れば、元々は武家の娘であった女主人・千恵の優しい笑顔が、今日も悩み惑う女たちを待っている。そんな「百合花」で働きたいという町娘ーお文。一見すると真面目な彼女が抱える事情が、千恵自身の哀しい過去にまつわる事件へ繋がっていく…。
事件と見れば首を突っ込む性癖から“うろつき”と渾名される定町廻り同心・空木勘久郎。“鬼”に成り果てた先輩同心との死闘には勝利したものの、否応なく剣刃の血渦に巻き込まれていく…。その頃、死に至る奇病“腹咬”が流行の兆しを見せる。病魔の影には、万病を治す“奇跡の按摩”と評判の座頭・九治という盲目の男の姿があった。
豆を手にすれば恋愛成就との噂がある、東大寺二月堂の節分。奈良の大学に通うまじめな理系女子の「私」は、二十年間彼氏なし生活からの脱却を願った。大混乱のなか、やっと拾った獲得物からこぼれ落ちた鈴を拾ったのは、狐のお面に着流し姿の奇妙な青年。素顔を明かさぬ「狐さん」との衝撃的な出会いだった。
浜村渚が修学旅行で大冒険!京都で謎の連続殺人事件が発生。現場には、なぜか京野菜が撤かれていたのだ。テロ組織「黒い三角定規」の不気味な影がちらつく中、渚&親友のセチが真相を見抜く!魔方陣を使った謎解き合戦、鳩の巣原理を操るテロリストとの対決なども加えた、傑作4篇を収録。
父が自殺した。突然の死を受け入れられない安藤直樹は、父の部屋にある真っ黒で不気味なパソコンを立ち上げる。ディスプレイに現れた「裕子」と名乗る女性と次第に心を通わせるようになる安藤。裕子の意識はプログラムなのか実体なのか。彼女の記憶が紐解かれ、謎が謎を呼ぶ。ミステリの枠組みを超越した傑作。
企業と癒着する上司、不透明な融資、無慈悲な貸し剥がし。大栄銀行に勤める竹内は腐敗していく組織に嫌気を感じていた。そんな折、出世頭だった同期が自殺する。役員はその死に対し「君たちはコストだ」と言い放った。目前に迫る財閥行との合併を前に、プライドをかけた戦いが始まる。リアル銀行小説の原点。
時は幕末、夜深まった横浜外国人居留地の一角・小倫敦。空き家から女の叫び声が響き、幽霊出没の噂が瞬く間に広まる。悲鳴のカラクリを鮮やかに解明する外国奉行所の若き同心・凌之介。しかし居留地の紛争の火種はくすぶり、日本人がピストルで殺害される。ミステリ仕掛け満載のエンタメ時代小説。
死んだはずの人間が生き返る「死人憑き」が本所深川で起きた。甦った人物が以前より若返っていると感じた「姉妹屋」のお初は、老奉行の御前さまから紹介された与力見習の右京之介と探索を始めた。だがその時、油樽から女の子の遺体が発見される。人は過去にも家族にも縛られる。霊験お初シリーズ第一弾。
母親とふたり暮らしの小学5年生の相原優希。彼女の家庭教師を引き継いだばかりの荻野歩実は、パパが3年ぶりに会いに来てくれたと打ち明けられる。父親が一緒に暮らしていない理由を知らない歩実が前任の柚木美沙に尋ねると、そこには家族を襲った悲劇が…。パパはバンパイアだという優希の思いとは?
頭脳、運動、容姿、全て完璧な喜多義孝。学園のエースが恋したのは幼馴染の「可もなく不可もない」宮村奈緒。喜多の告白を拒んでいた奈緒だが、彼の孤独を知り、想いを受け入れる。二人が付き合い始めた矢先、喜多は自殺した少女の日記に精神を侵されていきー。芥川賞作家が描く、純粋ゆえに危うい青春文学。
奉公先を盥回しにされたあげく、弟の急死で実家を継ぐことになった太一郎。修業先は、深川の古道具屋皆塵堂。やる気なげな店主と、生意気な小僧。並んでいるのは、首吊りや夜逃げのあった家の曰くつきの古道具ばかり。太一郎には、幽霊が見えるという秘密があった。憑きものだらけの怪談人情ミステリー。
無軌道な生、理不尽な奇跡。支離滅裂な死、不可解な愛と暴力。みんなカナグリ生きている。吹きすさぶ言葉たちが紙の上に降り積もり小説となる。生をもたらすキスと、死を招くキスって何ー?表題作「イキルキス」の他、文庫書き下ろし短編「アンフーアンフー」「無駄口を数える。」を含めた5編の中短編小説集。
浦沢中学2年D組、6番、北村ハルト。貧乏×父子家庭。母はメール一通で家を出て、親父はあらゆる賭け事で負け続ける。この世の中、持てる者と持たざる者とでできているのは知っている。せめて学校生活だけでも平和に過ごしたい。しかし学校の危機に来たのは史上最弱ダメ教師。そしてハルトの前に更なる危機が!