2014年4月6日発売
エヴェンキ族最後の酋長の妻、90歳の「私」は、仲間が定住地に移住していくのを見ながら、森の中で最後までトナカイと一緒に残ることを決意して、これまでの人生を語り始める。もともと民族はバイカル湖周辺に住んでいたが、ロシア軍が侵攻してきたため、アルグン川の右岸に渡る。そこは当時、清国だったが、やがて中華民国となる。そして日本軍の対ソ連前線基地となり、男たちは軍事訓練を受けるが、日本軍は敗退していく。やがて中華人民共和国の内モンゴル自治区に変わり、社会主義体制のもと、政府は医療の改善と教育の充実、また動物保護を名目にして定住生活を推し進める。だが彼らのトナカイとの共存共栄の生活が理解されず、狩猟民としての生活が破壊されていく。都市での定住生活に適合もできず、将来を見出せない狩猟エヴェンキ族。民族は徐々に衰亡し、やがて絶滅してしまうのではないか、と危惧する…。
小説・映画から野球文化を読み解く。 アメリカの「国民的遊戯」と称されるベースボールが文学作品や映像作品で表現される際に見られる特徴を分析し、そこに透けて見えるアメリカ文化の姿、人々の希望と欲望、そして“神話”としてのベースボールを考察する。 はじめにー野球例外主義 第1章 ベースボールの履歴書ー裏通りから巨大ビジネスへ バット・アンド・ボール・ゲーム 遊戯の職業化 ニグロリーグ デッドボールからライヴボールへ 戦争と野球 拡張の時代 -ナショナル・パスタイムからインターナショナル・パス タイムへ 遊戯の精神ーメジャーだけがベースボールじゃない 第2章 ベースボールの文化表象 パストラルの詩学 郷愁と風刺 皮肉と感傷 神話と野球文学 マジック・リアリズム 第3章 「なぜ書くか」をいかに読むかー 隠喩媒体としてのベースボール イノセンス めぐる季節 ノスタルジア 逸話が伝える記憶 パストラルの時空間 マジック・リアリズム 野球と民主主義 アメリカの夢、アメリカ人の条件 野球文学の水脈 第4章 最初の野球映画「最期の試合」 国民的遊戯の創生 走れ、ウィリアム 10 人のインディアンー消えゆく先住民たち 文化的食人ー人間からシンボルへ ネイティヴ・アメリカン・パスタイム 第5章 フィールド・オブ・アメリカン・ドリームス 父と子の和解の物語 テイク・ミー・トゥー・カムデン・ヤーズ 緑がもたらす心の安らぎと経済的成功 J. D. サリンジャーからテレンス・マンへ ジェイムズ・アール・ジョーンズの数奇な野球人生 見えない人間たち おわりに 読書案内