2014年8月18日発売
殺人事件の容疑者として逮捕された少年には、戸籍がなかった。十八歳くらいだと推定され、「町田博史」と名付けられた少年は、少年院入所時の知能検査でIQ161以上を記録する。法務教官の内藤は、町田が何を考えているか読めず、彼が入所したことによって院内に起こった不協和音に頭を悩ませていた。やがて、何人かの少年を巻きこんだ脱走事件の発生によって、事態は意外な展開を見せる…。
身元引受人となった前原悦子の製作所を手伝いながら、大学に通いはじめた町田は、同じ大学の学生たちの会社「STN」設立を手伝うことになる。周囲は賑やかになり、町田の感情も穏やかになりはじめているように見えた。しかし、すべての始まりだった殺人事件と、その関係者たちは、町田を放っておいてはくれなかった…。
毎週金曜日は、バー“森へ抜ける道”の特別な日。聖シルビア女学院の大学院生・桜川東子が来店するのだ。マスターの島、私立探偵の工藤、ライターの山内の「ヤクドシトリオ」と、最近ビールに凝り始めたアルバイトの阪東いるかは、桜川をまじえて、どっちへ転がるかわからない酒飲み話に興じはじめる。そして、いつものごとく、いささか強引に最近起こった未解決事件の話題に転じるのだ…。ずっと酔っ払っていたくなる、至福のバー・ミステリ、人気シリーズ最新刊!!
反骨の検事・名城政人が殺人容疑で逮捕された。検察内部の不正を告発しようとしていた彼の罪状には、冤罪の疑いが色濃い。後輩検事の菊園綾子は、好敵手で弁護士の森江春策に協力を仰ぎ、証拠品の放射光による鑑定と、関係者が集った洋館ホテル“悠聖館”での事情聴取に乗り出す。しかし、放射光鑑定をするはずの研究機関で暴走事故が起こり、“悠聖館”では新たな殺人事件が発生する。それは、菊園検事を謎と推理の迷宮へといざなう招待状だったーパラレルワールドと化した事件現場。真相を見抜かないと、元の世界にはもどれない。知恵と推理と正義感を武器に、迷い込んだ異次元で、孤独な闘いがはじまる。奇想爆発。作家が、持てる技と力のすべてを結晶化させた、渾身の本格ミステリ長編!
山縣有朋の別邸・黒龍荘に、山縣の影の金庫番・漆原安之丞に対して恨みを晴らす、という脅迫文が届き、数日後、漆原は謎の死をとげた。調査依頼を受けた「月輪萬相談所」の探偵・月輪は、かつて伊藤博文邸でともに書生として過ごした杉山を連れて黒龍荘に住み込むことに。広大なお邸には四人の妾を含む住人七人と使用人たちが暮らしていたが、警察と月輪たちの監視をあざ笑うかのごとく、彼らは次々と遺体となって発見されていくー史上屈指の残虐事件の裏には、国家をも揺るがしかねないおそるべき謀略があった!!
終わりの見えない廊下。誰もいない教室。すべての音が消えた街。夕暮れの迫る学校で目覚めた女子高生・葛木亜莉子(かつらぎありこ)が出会ったのは、「チェシャ猫」と名乗る、フードを目深に被った怪しげな人物だった。「さあ、僕らのアリス。シロウサギを追いかけよう」チェシャ猫に誘われ、妙なヒトやケモノたちが住まう「人の消えた世界」へ迷い込んだアリス=亜莉子は、元の世界に戻るために「シロウサギ」の行方を追うがー。やがて忘れられた真実と邂逅した時、新たな悲劇の幕が開く。その果てにアリスが見たものとは?さあ、覚めることのない悪夢をあなたにー。
「私、突然変異体なんです」人気アイドル・グループのメンバーである結城ぴあのには、もう一つの顔がある。秋葉原電気街の“お姫様”。電子部品を買い漁る彼女は、自宅のガレージで一人実験を繰り返す。その目的は、「宇宙へ行くこと」であった…。