2014年8月21日発売
ホテル・コルテシア大阪で働く山岸尚美は、ある客たちの仮面に気づく。一方、東京で発生した殺人事件の捜査に当たる新田浩介は、一人の男に目をつけた。事件の夜、男は大阪にいたと主張するが、なぜかホテル名を言わない。殺人の疑いをかけられてでも守りたい秘密とは何なのか。お客さまの仮面を守り抜くのが彼女の仕事なら、犯人の仮面を暴くのが彼の職務。二人が出会う前の、それぞれの物語。「マスカレード」シリーズ第2弾。
アパートの水漏れがきっかけで、下の階に住む男と親しくなったあかり。男はある日、奇妙な相談を持ちかける。「俺と、部屋を交換しない?」(「天井の刺青」)。街のあちこちに灰色の公衆電話が存在していた、あの時代。初めて東京を訪れた私が泊まったホテルの部屋には、なぜか外国人女性が住んでいて…(「東京観光」)。直木賞作家が贈る、味わい深い七つの物語。
リタは、婚約者を第一次世界大戦で亡くし、医者だった父も喪って、失意のなかにいた。その頃、妹が通うグラスゴー大学の留学生竹鶴政孝と知り合う。日本でウイスキー作りをするため、イギリスまで学びにきた政孝に、驚きながらも惹かれていくリタ。だが、国際結婚を決意した二人は家族の猛反対に遭い…。夢の実現に邁進する夫と、献身的に支え続けた妻。ウイスキー誕生のため生涯を賭けた夫婦愛。
1900年、万国博覧会で賑わうパリ。精神科医のラゼーグは警察に保護された少女を診察する。日本人らしき彼女は音奴と名乗るほかは多くを語ろうとしない。一方でラゼーグの元に、万国博を訪れた外国人女性の連続失踪事件の知らせが届く。事件解決に協力するよう要請されるラゼーグだったが、行く先々で謎の馬車に見張られていることに気付きー。異国の地を舞台とした傑作長編サスペンス。
精神科医ラゼーグら周囲の心遣いから次第に心を開くようになった音奴。日本の旅芸人一座にいたという彼女が語り始めた身の上にラゼーグは驚きを隠せない。そんななか、連続女性失踪事件を追うパリ警視庁警視の妹で、ラゼーグとも親しい仲だったラボリ嬢が殺害される。犯人は誰で、その目的は何なのか。失踪事件の真相とは。華やかなパリ万国博覧会の陰で起こった猟奇的事件をスリリングに描く。
オーストラリアで働くノルウェー人女性が死体で見つかり、オスロ警察の刑事ハリーは捜査協力のため、単身シドニーに赴く。ハリーも加わった捜査班の前に次第に浮かび上がる、隠れていた一連のレイプ殺人。犯人の目星は二転三転し、捜査班は出し抜かれては後手を踏む。さらに、封じ込めていた自身の過去がハリーを苛みはじめる…。「ガラスの鍵」賞受賞に輝く驚異のデビュー作、登場。
捕虜収容所でユダヤ人のあんたに親切とはいえなかったナチスの将校が生きているかもしれないー臨終の床にある戦友からそう告白された、87歳の元殺人課刑事バック・シャッツ。その将校が金の延べ棒を山ほど持っていたことが知られ、周囲がそれを狙ってどんどん騒がしくなっていき…。武器は357マグナムと痛烈な皮肉。最高に格好いい主人公を生み出した、鮮烈なデビュー作!
家出を繰り返す少年が、開けた荒野の真ん中から消えたーハイランド地方を訪れたダンバー大尉が聞かされたのは、そんな不可解な話だった。その夜、当の少年を偶然見つけたダンバーは、彼が何かを異様に恐れていることに気づく。そして二日後、少年の家庭教師が殺されるースコットランドを舞台に、名探偵ウィリング博士が人間消失と密室殺人が彩る事件に挑む傑作本格ミステリ。
パラディスは生者の、半生者の、蘇生者の、死なざる者の都であると同時に、死者の都でもあるのです。婚礼の新床で花嫁が夫の手で殺された。夫が死ぬまで隠し通したその理由とは。(「鼬の花嫁」)周囲の人間が次々と衰弱し死に至るという、不吉な噂が囁かれる女性の正体は。(「美しき淑女」)退廃と背徳の都パラディスに眠る死者の物語8編を収録。闇の女王タニス・リーの傑作短編集。