2015年2月19日発売
大手製薬会社・向山製薬の研究員、三浦陽介の死体が自宅で発見された。警察は当初、事件性も疑って捜査した。なぜなら、「研究所の人間が人体実験をしている」と告発する怪文書が研究所内で発見されていたからだ。だが、1ヵ月経っても三浦と怪文書は結び付かず、アレルギー発作によるショック死と断定、事件性はないと判断された。その2週間後、経済学捜査員・伏見真守が向山製薬を訪れた。伏見は警察の見解を覆すように、三浦の死に他殺の可能性があることを示唆した。そして、三浦が所属していた「希少疾病第二部門」の研究員に向かって、全員を容疑者として扱うと宣言したのだった……。
親友を頼り、東京から小豆島へやってきた内向的な30代イケメン・秋彦。島のホテルで仕事を始めるが、恋も結婚も諦めたアラフォー女性・言問子と、家庭から逃げ出したいアラサー主婦・真奈美の間で、彼を巡りイザコザ発生。さらに東京育ちの美少女の出現で波瀾万丈の予感!?平穏に生活していた島の人々を巻き込んで、島へ逃げるしかなかった秋彦の内面が明らかになっていく…。「家族」って何だろう?いちばん大事なものって何だろう?次代を担う新鋭・中澤日菜子の家族小説。
小さい頃、芽衣子は嘘ばかりついていた。大人になっても仕事も恋愛も上手くいかない。チリに出張中、彼女は初恋の人と再会する(「サンティアゴの雪」)。中学生の広海は、生まれ故郷が大嫌いだ。彼は島を出て本土に行った女性と出会うが、そいつはとんでもないやつだった(「瀬戸内海の魔女」)。結婚して十五年。ずっと一緒にいるものと思っていたが、妻に別の男ができた。最後に夫婦はもう一度、思い出の店を訪れようとする(「渋谷で待つ」)。静かな感動が降り積もる六編。『うさぎパン』の著者、初の短編集。
東京都大田区の路上で発見された女性の全裸死体。殺人事件として捜査一課強行班が動き始める。被害者は経営コンサルタント・坂上実咲。その名前は、捜査一課に二年前の痛恨の記憶を呼び起こした。被害者の身辺を洗う中、二年前の事件をきっかけに辞職した元刑事の名前が挙がった。奔放な被害者の異性関係。捜査は難航し、捜査一課は強行班七係と中本班の二班合同態勢をとるがー。刑事たちは、何を求め、何を探し続けるのか。男たちの葛藤と、その心の深淵にある光とは。