2015年4月23日発売
「私」が外に出るときは、どんなに悪天候だったとしても必ず晴れる。ある日、耳の奥から声が聞こえてきた。声の主は、豆粒ほどの小さなおばあさんだった。おばあさんが、なぜ豆粒ほどに小さくなったのかー。訥々と語られる、貧しい炭焼き職人の一家の物語。夫殺しの罪を着せられた母が、幼い子どもたちのためにした選択とは…。哀しみと絶望の底にさす一筋の光をしなやかに描いた傑作「晴れ女の耳」。他、七つの怪談短篇集。
神保町の楽器店から消えた1億2000万円のヴィンテージギター。それはアメリカの伝説のミュージシャンが所有していたものだった。オークションで落札した楽器店主は謎の死を遂げるが…。生まれも育ちも神保町の大学准教授・吾妻幹は事件を追い始めるが、愛する街で起きた殺人事件は思いも寄らぬ展開を見せ始めていく。実在する食の名店も多数登場。一気読み必至の神保町ミステリー。
失火により父が不慮の死を遂げたため、江戸から西美濃・田名部郡に帰参した小野寺一路。齢十九にして初めて訪れた故郷では、小野寺家代々の御役目・参勤道中御供頭を仰せつかる。失火は大罪にして、家督相続は仮の沙汰。差配に不手際があれば、ただちに家名断絶と追い詰められる一路だったが、家伝の「行軍録」を唯一の頼りに、いざ江戸見参の道中へ!
中山道を江戸へ向かう蒔坂左京大夫一行は、次々と難題に見舞われる。中山道の難所、自然との闘い、行列の道中行き合い、御本陣差し合い、御殿様の発熱…。さらに行列の中では御家乗っ取りの企てもめぐらされー。到着が一日でも遅れることは御法度の参勤交代。果たして、一路は無事に江戸までの道中を導くことができるのか!
レインボーテレビ地下倉庫での爆発に巻き込まれ、東京臨海中央署地域課の巡査部長・日向太一はこの世を去った…はずだった。が、公安の極秘任務を受け、コードネーム・リンクスとして甦っていた!天才科学者・嶺藤亮とタッグを組み、反政府組織クリムゾンの全貌に迫る。高速アクション第二弾。
阿寒湖を見下ろす雪の峠で、天才少女画家・時任純子は美しい遺体となって発見された。十八歳という若さで、彼女はなぜ自ら死を選んだのか。彼女が一番愛したのは誰だったのか。彼女に深く関わった六人の視点から描き出す、少女の鮮烈な人生。愛と死で華麗に彩られる渡辺文学の礎となった自伝的小説。
大坂の闇社会を仕切る山村検校の追っ手から逃れて十年ー。江戸に行き着いた新一は、按摩の傍ら再び殺し屋稼業に手を染めていた。地獄と隣り合わせの日々を過ごす新一だったが、ある依頼をきっかけに、失われた人生を取り戻すため立ち上がることを決意する!暗黒時代小説の傑作。
オリュンポスの神々の賭けにより、“魔物退治”に挑むことになった英雄の子テレマコスと美しき吟遊詩人ナウシカア。人類の命運を背負う二人が辿る波瀾の道行き、非力な人間の思いもかけない力、若き男女に芽生える恋の予感…構想二十年余、ギリシア神話をベースに織り上げた、絢爛たる愛と冒険のタペストリー。
南アフリカにおける人種差別、異文化の対立/和解を主題とした、デビュー作。『戦場のメリークリスマス』に連なる人間描写はここから始まった。本邦初訳。著者自身の体験に基づいた、個人の良心と道徳性を問う問題作であり、初期アパルトヘイトの歴史的記録であり、今日的意味の大きい作品である。